前回、SONYの新しいフルサイズミラーレスカメラ"α7CⅡ(ILCE-7CM2)"を予約したという報告をしましたが、その後無事発売日に手元に届きました。
※予約時のページはこちら
それで、まずはゆっくりと走るラジコンとドッグランで遊ぶ愛犬を撮ってみましたので、その時のファーストインプレッション(主にAF性能について)を述べていきたいと思います。
結論だけ先に申しますと、やはり動き物(早歩き以上)を撮る場合の歩留まりは、α1とは雲泥の差がある(α1の方が圧倒的に上)、という感じでした。
まあ予約時や以下のページでAIAFについて述べた時の予想通りの結果でしたね。
ということで詳細は本編をお読みいただければと思います。
開封
一応開封時の写真も軽く撮っておいたので、まずはその様子から。]
外箱を見た最初の感想は「ちっさ!」でした(笑)
箱の長辺がα7Ⅲやα1の箱と比べて2/3くらいになったんじゃないですかね。
箱の中身も非常に簡素化されていました。
箱の中身は説明書類と「カメラ」、「ストラップ」、「バッテリー」以上!(笑)
この余計な物が入っていない潔さ、個人的には嫌いじゃないですけどね。
上の写真のように、カメラ本体を出してみるといかにギリギリの大きさの箱に入っているかがわかりやすいんじゃないでしょうか
ちなみに色はご覧の通りシルバーにしました。
単純に見た目が好きなのと、鞄の中とかでもパッと見でα1と区別がつきやすそうだなというのが理由です。
初使用時の感想(ラジコン撮影)
たまたまタイミングが合ったので、α7CⅡでの初撮影対象はラジコンカーとなりました。
ちょうど良い機会だと思い、α1には無い車の被写体認識AFに設定して撮ってみました。
ラジコンの速度は結構遅くて、人間が歩くペースと同等くらいって感じですかね。
このように前ボケをふんだんに使っても、しっかりと被写体を認識してピントを合わせてくれました。
そして、更に厳しい状況で撮ったのがこちら。
正直、撮影中はどうせ半分くらいは草にピント持っていかれて使えないんだろうなと期待していなかったのですが、家に帰ってデータを見返したらほぼピントが合い続けていたので驚きました。
この時は完全に良い意味で期待を裏切ってくれたなと思えましたね。
なお、被写体の認識状況はこんな感じです。
このように、被写体との距離によってフォーカス枠の形も変化していましたが、いずれもα1では表示されない枠の形なので、しっかりと車と認識していたということだと思います。
これはα1には無いAIAF(AIプロセシングユニット搭載による被写体認識)の賜物ですね。
そしてここから更に近づいてきた写真がこちら。
これくらいまで接近してくる間、ほぼ草に引っ張られずに車にピントが合い続けていました。
ちなみに、画像は用意していませんが、この時のフォーカス枠は瞳AFくらい小さい枠で「LAND ROVER」のロゴの一部に合っていました。
ということで、初日の使用時の所感は、思った以上にAF性能(被写体認識・追従力両方)が優秀で、もしかしたら動き物でもα1と使い分けできるレベルなのかなという感じを受け非常に好印象でした。
しかし、この期待はもう少し動きの速い被写体を撮ることによって完全に打ち砕かれてしまうことになりました。
2回目使用時の感想(ドッグラン撮影)
α7CⅡを使った2回目の撮影は、ドッグランで愛犬を撮ってみることとしました。
非常に激しく走り回る子達なので、普通であれば迷わずα1を選択するシチュエーションですが、ここは敢えてα7CⅡの実力を把握するためにα7CⅡを使ってみました。
しかし、この時の結果がまあひどかったんです。
AF追従性能はα1より大きく劣る
1枚目は向かって右の子にピントが合っていますが、2枚目はピント位置がほぼ変わっていないため、2匹ともピンボケしてしまっています。
ただ、この写真はフォーカス枠を見てみると、そもそも被写体認識も上手くいっていないことがわかります。
このパターンは被写体認識が上手くいかなかっただけのパターンなので、まあたまには仕方ないかな(特にこれは元の写真も結構暗いし、被写体認識難易度も相当高そうな色と柄の2匹ですしね(笑))と思えるのですが、ここから先に紹介する例は被写体は認識しているけど追従が追い付いていないパターンなので、カメラの性能の底が見えてしまっている感じなんですよね。
対処法としてはAFを諦めてマニュアルフォーカスや置きピンをするしかなくなってしまうというね。
これは結構なスピードで走ってきたのでしょうね。1枚目と2枚目の時間の経過っぷりに、連写速度の重要さも改めて思い知らされました(α7CⅡは最大10枚/秒、α1は30枚/秒)。
そしてピント、2枚目は全く合っていませんよね。
フォーカス枠も見てみましょう。
このフォーカス枠の形もα1には無いものなので、一応動物の頭部と認識はしてくれている筈です(α1は瞳AFかそれ以外かって感じの形しかありません)。
なのでただただAFの追従速度(演算速度)が間に合っていないのかなという感じです。
続いてはこちら。
これは先程の1枚目と2枚目の移動距離と見比べてもらえばわかると思うのですが、ただの早歩き程度のスピードしか出ていません。
被写体が小さく写っていてわかりづらくて恐縮ですが、これも拡大すると2枚目は前脚あたりにピントが合っちゃっていて、個人的には使えず消去してしまうくらい顔はボケてしまっています。
フォーカス枠は完全に瞳を認識しているのにです。
この移動スピード程度でも駄目かぁっていうのが結構ショックでしたね。
同じようなパターンでもっと大きく写せたやつがあるのでそれも紹介します。
ね?わかりやすく駄目駄目でしょ。
これなんか早歩きでもないスピードですからね。
このように瞳AFはしっかりと作動していてこれですからね。
こんな感じで、歩留まりの印象としては、1連写中に1枚でもピントが合っていれば良いという感じで、α7Ⅲを使っていた時とほとんど変わらないなという感じでした。
本当に誇張無くα7Ⅲを使っていた時の感覚を思い出しました(笑)
厳密には、被写体の認識力は圧倒的に向上しているので、それを含めたトータルの歩留まりはα7Ⅲより若干良くなっていると思いますが、それでも結局認識したところでねえ…って感じは否めません。
α7Ⅲを使っていた頃の、被写体認識に頼らずにドットサイトを使ってフォーカス中央固定で飛んでいる野鳥を撮るやり方で画面中央に被写体を収めることができている間の歩留まりと、α7CⅡで被写体を認識できている間の歩留まりはほぼ変わらないんじゃないかと思います。
α7Ⅲ時代のフレーミングが上手くいってもAF追従が上手くいかない失敗例はこちらのページで語っているので、よければご覧ください。
そしてα1のAFお化けっぷりについてはこちらで興奮しながら語っていますので是非ご覧ください。1連写中のピント追従の正確さが多少は伝わるかと思います。
ということで、動きの速い被写体をメインとして歩留まり良く撮りたくて、かつ予算に限りがある場合には、個人的にはα7CⅡ等よりも中古のα9をお勧めします。
様々な場面でオールラウンドに使えて、かつ快適な使用感を求める場合には話が変わってきますけどね。
AIAFの良かった点と撮影成功例も紹介
ここまでAF性能について酷評してしまいましたが(笑)、あくまでα1と比較したらという意味で、当然全く写真が撮れないという訳じゃありません。
この辺りの写真なんかはAIAFが効いていて、α1のAFだと咄嗟にはもっと大雑把なピント合わせしかできなかったと思います。
上の写真くらいがα1でも瞳を認識し続けるかどうかの境界くらいな印象ですかね。α7CⅡでは安定して瞳AFが作動し続けてくれました。
それ以外にも、完全な後ろ向きの場合に頭部を認識して合わせてくれるのも便利でした。
止まっている被写体の撮影には凄く楽で快適なカメラです。
また、散々動き物では歩留まりが悪いと文句を言ってきましたが、決してゼロではないんです!
上の写真なんかは最高にカッコいい瞬間をバチっと撮ることができて非常に気に入っています。
こんな感じで歩留まりが悪くても気に入った写真は必ず撮れるはずです。
これがこの日一番気に入った写真ですかね。
ちなみにこれは縦写真を横位置にトリミングしています。3,300万画素もあればこういったことも余裕でできます。
また動きが速い被写体でも、カメラに対して水平方向の動きであれば全然問題無く撮影できると思います。
初めてのカメラであるとか、動き物を撮る機会がそんなに無いという場合には十分なカメラ性能だと思います。
ただ、一度α9系やα1を使ってしまうと戻れなく感じてしまうくらいの差もまだあるのかなとも思っています(笑)
撮影例は以上です。
その他の感想
その他使ってみて実際に感じたことも軽く触れておこうと思います。
バリアングルは縦位置撮影が圧倒的に便利
今回の撮影例を見てお気づきの方もいるかもしれませんが、縦位置撮影の写真が非常に多いんですよね。
一度縦に構えたら、横位置に戻すのも面倒くさく感じるくらい縦位置撮影がしっくりきたので、今回撮った写真の6~7割が縦位置で撮ったものでした。
ただ、やっぱり横位置ローアングルでの撮影なんかは非常に使いづらくストレスに感じました。
個人的にはメインカメラはチルト派というのは変わらなさそうです。
小さいグリップはカメラ内で写真セレクトをしていると手が非常に疲れる
私はこのページで述べているように、基本的にカメラ内で撮った写真を一次選別するタイプです。
店頭で触った時や、撮影中はグリップ感悪くないなと思っていましたが、撮影後にカメラ内で写真を見返す作業をしていると、想像以上に手が疲れてしんどかったです。
カメラを持つ高さや姿勢によって結構影響度が変わってくるのかなって思いました。
またカスタムボタンが減ってるのも、α1と同じようにセレクトできなくて快適ではありませんでした。
AIAF(被写体認識)が悪さする場面もあった
α1の場合、瞳を認識できない場合はとりあえず手前の方に位置しているAFエリア内のものにピントを合わせようとするので、ピントが全然関係ないところに行ってしまうという事故はあまり起こらなかったのですが(AFエリアを最小にしてる場合等は別)、α7CⅡでは、特に黒いわんこに対して、肩口や尻尾を何かと認識してそこにピントを合わせにいってしまい、顔は惜しくも何ともないボッケボケな状態になってしまうということがこの少ない使用回数でも起こりました(データは消去してしまいました)。
なので、基本的にはAIAFがあった方が便利なのは間違いないけれど、時には無い方が防げそうな事故も起こり得るなと感じました。
とりあえず実感した点はこんなところですかね。
終わりに
ファーストインプレッションは以上となります。
まとめると、ノロノロ動く被写体には◎、早歩きくらいの被写体から歩留まりは期待できない、という感じですかね。
途中でも述べましたが、動き物をメインに撮りたくて予算に限りがある場合は、より安価に入手できる中古のα9をお勧めします。
それ以外の点、操作のレスポンス等の快適性や様々な機能等については圧倒的に最新の機種の方が進化していますので、動き物がメインじゃない場合ならα7CⅡは機能に対してのコスパも良く、かなりお勧めできそうかなと今の所思っています。
少しでも参考になれば幸いです。
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