望遠レンズ"SEL100400GM"を購入した当初から、「いつか買おう」と思い続けたものの、1年以上食指が動かなかった一脚を遂に購入しましたのでご紹介したいと思います。
購入したのは、Gitzo(ジッツォ)の"GM4562"という一脚です。
案の定、一脚が有ると様々な場面で非常に楽になり、早く買えば良かったなと思っております(笑)
また、散々迷った結果、三脚に続きまたもや非常に高額なGitzoの製品を購入しましたが、自分の選択に間違いはなかったなと思っており、全く後悔の無い買い物となりました。
一脚とは
私自身、カメラを買うようになるまで一脚の存在自体知りませんでしたので、念のために初心者の方向けに一脚とは何かと軽く述べておきます。
大抵の方は三脚については何となくイメージが浮かぶかと思いますが、一脚は文字通り、その脚が1つしか無くて、雑に言うと只の伸縮する棒みたいな物です(笑)

こんな物で、三脚と同じく上にカメラを乗っけて使います。
一脚の種類によっては自立する物もありますが(この写真は辛うじて立っているだけで、少し触れたら倒れます)、どれも三脚程の安定感は無いので、基本的にはカメラから手を放さずに使う物かと思います。
これをどのような場面で使用するかというと、重たい望遠レンズ等を使う際に、手持ちの補助として重量の分散や安定性の向上に役立ちますので、望遠レンズをよく使うスポーツや野生動物の撮影等の場面で見かけることが多いかと思います。
三脚と比べると、設置場所を取らず、頻繁な移動も楽ですし、手持ち撮影と同じとまでは言いませんが、近しい感覚で素早く動きまわる被写体を追うことができます。
要は、あまり制限が付加されることなく、重たいレンズを構え続けたりするのが肉体的に非常に楽になります。
自分が楽をする為の道具です。
なので、私がSONYの望遠レンズ"SEL100400GM"(約1.4kg、カメラと合わせて約2kg)を購入した頃から、あれば楽だろうなと思い、そのうち買いたいなと思い続けていた次第です。

とはいえ私が撮影する場面においては決して必須な道具とも言えず、また最近の望遠レンズはこれでも以前の物と比べると格段に軽量化されていますので、大抵の場面は手持ちでも何とかなるだろうと思っていることが、なかなか購入に至らなかった理由でもあります。
購入時に迷った製品
正直な話、三脚と比べると、
- 脚1本だけなので、どの製品でも基本的に軽い
- 長秒で撮る用途では使わないので、ブレづらさなどの安定性に拘る必要が無い
以上の点から、あまり高級な一脚を選ぶ必要性は無いのかなと思ってます。
余程粗悪な物でなければ十分実用できるんじゃないかなと想像しています(体験していないので断言はできませんが)。
逆に良い物が必要な人は、高頻度で使い、壊れにくさとかメンテナンスのしやすさという点を重視する方ですかね。
私はというと、前述のとおり、現状は基本手持ちで足りると考えている人間ですので、中途半端な物を買うとまず使わなくなりそう、そして持ち運びしやすい大きさじゃないと、結局持ち出さなくなりそうだなというのが容易に想像できました。
それが買おうと思いながらなかなか購入に踏み切れなかった大きな理由でした。
そして、もし購入するなら可搬性を重視して、縮長の短い製品を選ぼうと思っていました。
ただし、縮長が短い=段数が多いので、一番下の段の脚の径がかなり細くなってしまいます。
なので、縮長を重視する場合には、あまり安価な製品を選ぶと流石にちょっと不安かなという思いもありました。
そんな中で、最後まで購入候補だったコスパの良さそうな製品も紹介しておきます。
SIRUI P-326
まあ一脚買うならこれだろうなと思い、とりあえずAmazonの欲しいものリストに1年以上ずっと入れっぱなしにしていたのが、SIRUI(シルイ)の"P-326"という一脚です。
値段は大体8,000円台という感じです(このページ作成時は少し値下がりして8,000円を下回っていました)。
主なスペックはこんな感じ。
- 段数:6段
- 素材:カーボン
- 最大径:32mm
- 最小径:16mm
- 全高:1540mm
- 縮長:380mm
- 重量:0.4kg
- 耐荷重:10kg
収納時は短く軽く、伸ばすと高さも十分有り、耐荷重も10kgとスペック上はほぼ自分の理想通りの製品です。
そして物の割には非常に安いのではないかと思います。
Amazon等のレビューでも基本的に評価は高く、買っても失敗しなさそうだなと思っていました。
・・・なのですが、私はいつか買えばいいやと思い続けながら、結局購入には至りませんでした。
理由はわかりません(笑) なんか決め手にかけるなというのと、買ってもあまり使わなさそうだなという予感がしてたのですかね。
Gitzo(GM4562)を選んだ理由
次に購入したGitzoの"GM4562"のスペックを紹介します。
- 段数:6段
- 素材:カーボン
- 最大径:37mm
- 最小径:18.2mm
- 全高:1540mm
- 縮長:440mm
- 重量:0.67kg
- 耐荷重:30kg
SIRUIのP-326とほとんど同じですね。
径が若干太くなり、その分若干重く、縮長も6cm程長いですが、個人的には44cmなら雲台を付けても55cm超えないくらいですので、全然OKかなと思っています。
耐荷重はSIRUIの3倍の30kgを謳っていますが、耐荷重はメーカー毎に基準が異なるらしいので、直接の比較にはなりません。
ですがGitzoは信頼、実績のあるブランドですから、それなりに信用できる数字なのかなと思います。
自分のカメラ機材の重量的には、耐荷重10kg、なんなら5kgでも十分な気もしているのですが、何処かで見かけた、「一脚は自分の体重を預けて構えた場合でも安心なように、耐荷重は大きい方が良い」というような説明に納得もいったので、耐荷重が大きいのはプラスです。
しかし、値段はP-326の凡そ4倍です・・・。
ここまでの価格差の価値がGM4562にあるのか正直わかりませんが、私は下記ページで紹介しているGitzoのトラベル三脚"GT1555T"を購入してみてGitzoのクオリティに非常に満足しましたので、やはり買うのに勇気がいるけど、買ったら満足できる製品なんだろうなと期待を持っていました。
この三脚購入時も、以前から所有していたLeofoto(レオフォト)という、Gitzoと比較すると安い中国のメーカーの三脚と比較して、スペック表だけではわからない剛性感・安定感の差を実感したという経験がありました。
今回のSIRUIもコスパの良さでは定評の有る中国メーカーですので、三脚の時と同じように仕様ではわからない差がありそうだなと思うに至りました。
最終的には、検討している一脚はどちらも6段とかなり段数が多く、脚の最小パイプ径は20mm未満と細いので、少しでも安心感を持てる物が良いなというのが大きなポイントとなりました。
また、Gitozの三脚を買ってしまったことにより金銭感覚がバグってしまい、三脚と比べると(自分が買ったのは送料等込みで6万円くらい)まだ安い方なのではないかと幻惑させられたことも大きいです(笑)
GM4562の外観紹介
ということで、購入したGM4562の写真を貼っていこうと思います。

三脚と共通のデザインですね。見た目も好みです。
※一脚の上部は、とりあえずKirkのクイックリリースシステムだけ取り付けた状態です。
三脚と同様、ナットロックのゴムが指を引っかけやすい形状になっている等、細部のパーツも使い易く作られていると思います。

その他に個人的に気に入っているのは、最初から付いている大型の石突(地面に接する部分)と、付属しているストラップにフックが付いているという2点です。

物凄く安定感ありそうに見えませんか?購入前から凄く使い易そうで良いなと思っていたポイントです。
最初からこのような大型の石突が付いている物は、他のメーカーでは見かけなかったような気がします。

ただ大きいだけでなく、接合部が球体型になっているのと、その上部がくびれていることによって、石突が干渉することなく、非常にスムーズかつ広い可動範囲を動かすことができます。
このおかげで一脚をかなり傾けることもでき、また大きな面でグリップしてくれて滑らずに保持することができます。
先ほども貼った写真ですが、収縮時は辛うじて自立させることもできます。

ちょっと触れたらすぐ倒れるので、実用性は皆無ですけどね(笑)
とは言え、大型石突のおかげで一脚を伸ばしている状態でも、壁に立てかける時等は割と安心して立てかけられる印象です。
またご覧の通り、石突は大型な分嵩張ってしまいますが、一応畳んで収納して、僅かに占領スペースを抑えることができます。

例えば細長い袋に収納したい時や、私の場合は後述する腰からぶら下げる場合に、石突の自分の足への干渉が大幅に減るので助かっています。
こんな感じで、石突に対する満足度は非常に高いです。
もう1点気に入っている、付属のストラップのフックは、私が愛用している道具と相性が良かったので重宝しています。

このような手を通せる短いストラップが付属しているのですが、私が気に入っているのは、ロゴ部分にあるフックの部分です。

このフックが、最近私がPeakDesignの"Capture"を使ってカメラを腰からぶら下げる際に使っている、thinkTANKphotoの"シンスキンベルト"というベルトに丁度取り付けやすい形状をしているんです。
※Captureについてはこちらをどうぞ。

私はとにかく両手をフリーにして移動することが好きなので、このベルトを腰に巻いていることが多いのですが、このループの好きな所に先ほどのフックを掛けて、腰から一脚をぶら下げることができます。
そんな人あまりいないと思いますが(笑)
その際に縮長44cmというのが、歩く際にも大きく邪魔にならないギリギリのサイズ感で良かったなと思いました。
腰だけに限らずリュックのどこかしらにも引っ掛けたりと、色々な場所に取付けできそうな気がしますので、このストラップのフックは有ってよかったなと思っています。
外観の最後は脚を一番伸ばした時の写真です。

横の障子の外枠上部天辺までの高さが大体195cm程でした。
雲台も取り付けると結構な高さとなります。
一脚用の雲台について
一脚を買って早々に、一度だけ雲台を付けずに先ほどのクイックリリースシステムにカメラ(正確にはレンズの三脚座)を直付けして近くの野鳥を撮りに行ってみたのですが、やはり雲台が無いとただただ不便でした。

アルカスイス互換のプレートが付けられるようになるので、アルカスイス互換の三脚座を素早く脱着できて便利です。
ですが、縦横無尽に飛び回る野鳥相手ですと、このままでは上下方向の移動に一脚を傾けなければならず、とてもじゃないですが追いきれませんでした。
最低でもティルト(上下に可動する)できる雲台は必須かと思います。
同じ目線で左右に動くだけの被写体等では雲台無しでも使えるかもしれませんが。
ですが、 一脚用の雲台は予算の都合もあり同時に購入することはできなかったので、 ここ数か月はとりあえずスムーズにティルトできる雲台として、既に所有していたジンバル雲台を活用していました。

雲台の動き自体には全く文句無く、幸いにもここ数か月間の使用場面は、運搬に困るような環境ではなかったので問題無く使うことができました。
ただ、やはりこのままだと雲台がデカすぎますよね(笑)
これだと今後一脚を持ち運ばなくなってしまうと思いますので、最近ようやく一脚用の雲台を注文しました。
現在発送待ちの状態ですので、届いてある程度使用したら、また別途紹介したいと思います。
到着を非常に楽しみにしています。
※注文して2ヶ月、ようやく一脚用雲台が届きましたので記事作成しました。
一脚が役に立った場面(作例)
最後は一脚が欲しかったと思った場面、実際に一脚が有って良かったなと思った場面を紹介しようと思います。
野鳥撮影については、基本的に歩き周りながら被写体を見つけ、サッと構えてサッと撮るというスタイルでしたので、手持ちでも十分(むしろ身軽で楽)だったのですが、多少撮影にも慣れてきて、お目当ての被写体がハッキリしてくると、同じ場所に暫く留まってシャッターチャンスを伺うという機会も増えてきました。
一脚が欲しくなった場面(構え続けるのが辛い)
やっぱり一脚が欲しいなと思ったきっかけのシーンがこちらです。



倉庫の上の方、大体20m位の高さはありそうな場所に留まっていたチョウゲンボウというハヤブサの仲間です。
このようないつ動き出すかわからない場面で、ずっとレンズを向け続けるのは厳しいです。
特に見上げた場所に被写体が居るような場合だと、私は1分もキープできなかったと思います。
この時は何度もカメラを上げ下げして構え直し続け、20~30分くらいチョウゲンボウと睨めっこしていたかと記憶しています。
構え直す場合、望遠レンズで被写体をフレームに再度収めるのに、下手すると数秒かかってしまうときもあります。
上の写真のようなゆっくりとした動きでは無く、咄嗟に飛び出す場面なんかを狙う場合だと、相当な集中力で構え続けないと手持ちではかなり厳しくなってしまうかと思います。
この時に、素直に一脚に頼った方が良いなと強く思い、購入を決断することになりました。
一脚が欲しくなった場面(シャッタースピードを落としたい)
もう一例、一脚が有れば歩留まりが全然違っただろうなという場面を紹介します。

コアジサシという鳥が飛び回っている姿を撮っていたのですが、急遽自分の目の前で数秒間ホバリング(空中で身体を静止させて留まる)をしてくれました。
これを普段撮っている1/2000秒くらいの高速シャッターで撮ってしまうと、羽の動きも止まってしまい、ただ普通に飛んでいる写真とあまり見分けがつかなくなってしまいます。
なので、咄嗟にシャッタースピードを1/80秒と遅くして(カスタム設定でボタン一つで遅くなるように設定しています)、体幹部は止まり、羽だけが動いている写真となるよう撮った一枚です。
これは、顔の部分をピント拡大しても、バッチリと止まってくれた奇跡的な一枚なのですが、やはり1/80秒で動いている物を手持ちで撮影すると、激しくブレた写真を量産することになります。
同じ連写内の他の写真がこちら。

身体もブレている

一目で全身ブレているなというのがわかるかと思います。
結局、今回の例の手持ち撮影では、数十枚連写したうちの1枚だけが上手く撮れ、他は全滅だったということですね。
実際に歩留まりが大幅に向上した例
上記の体験の後、似たようなシチュエーションで一脚を使えましたので、作例を紹介します。

今度はチョウゲンボウのホバリングです。
ちょうどレンタルしていたSEL200600Gというレンズに、更に1.4倍テレコンを付けて840mmという非常に長い焦点距離で撮った写真です。
シャッタースピードは先ほどと同じですが、前例は焦点距離が400mmでしたので、こちらの例の方が圧倒的にブレやすい状況です。
そんな状況での、今度は上の写真の前後2コマの写真を紹介したいと思います。


※トリミングしているので、被写体の配置が各コマでズレています。
今度は顔がどのコマもブレずに止まっているのがわかるのではないでしょうか。
そして、今回3コマを紹介しただけですが、この場面の同じようなクオリティの写真が60枚近くPC内にあります(笑)
手持ち時と比較して圧倒的な歩留まりの高さです。
終わりに
一脚の紹介は以上となります。
参考になりましたでしょうか。
手持ち撮影と比較して、良かったなと思った点をまとめますと、
- 構え続けるのが非常に楽になった(特に見上げる角度)
- その結果シャッターチャンスを逃しづらくなった
- シャッタースピードを遅くした場合でも、ブレを抑えて撮影しやすくなった
この3点の恩恵が非常に大きかったです。
カメラを乗っけた一脚を支えるのに、想像以上にほとんど力は必要ありませんでした。
ただし個人的には、動いている被写体を思い通りに追尾してフレームに収めつづけるのは、手持ちの方がやりやすいなと思いました。
短時間で確実に被写体が動くと予想できる場面では、できれば手持ちで臨みたいなというのが正直なところです。
また、流し撮りなんかも一脚の方がやりやすくなるかなと購入前は想像していましたが、若干斜め方向に動く物などに対しては、これも手持ちの方が上手く動きに合わせやすくて、個人的には手持ちの方が楽な場面が多いかなと現時点では思っています(まだ試行回数が少ないので意見が変わる気もします)。
こんな感じで一長一短なところがありますので、当たり前ではありますが状況に応じて使い分けるのが一番大事だなと思いました。
一脚を使った事の無い方は、まずは安いものでも十分だと思いますので、是非一度試してみてはいかがでしょうか。
※後日、一脚用の雲台を購入しました。
コメント