※本記事はマニュアルモードでの撮影とRAWというファイル形式での記録・現像が前提となっております。
「マニュアルモードがわからない」「RAWって何?」という方は下記記事からお読みいただくことを推奨します。
カメラを買うと、今まで以上に夕焼け空に魅かれるようになりませんか?
私はそうでした。
今までは余程の景色でない限り、スマホで撮ろうともしませんでした。
それがカメラで写真を撮るようになると、いつも撮っている被写体でも夕焼け空と一緒に撮るだけで、より一層綺麗で良い写真になるのでは、と考えて常に空の様子を伺うようになってしまいました。
しかし、カメラ任せで夕焼け空と被写体を一緒に撮ろうとすると、
- 空の部分が白くなってしまって、オレンジ色の空が表現できない
- 空の色は表現できているが、被写体が非常に暗く影になってしまう
このようなことが起きてしまい、上手く撮れないことが多いのではないでしょうか。
冒頭の写真のような、空の色と被写体どちらも綺麗に写る撮影設定の塩梅について説明していきます。
写真に正解は無い
まず、大前提として「写真(現像)に正解は無い」ということだけ伝えておきます。
空の色と被写体どちらもくっきり写っている写真が"正しい"、"良い写真"というわけでは決してありません。
私も気分によって何度も現像し直しますし、あえて空が白く飛んでしまっている写真にすることもあります。
1枚目が冒頭の写真で、2枚目は空は白くなってしまいますが、犬をより明るく爽やかな雰囲気に現像した写真です。
このように、空の色を見せたいのか、犬をどう見せたいのか、好みや気分によっても全然変わってくると思います。
「これが正しいんだ」とあまり頭を固くせず、一つの表現方法として参考にしていただければと思います。
使用機材
使用機材についても述べておきます。
フルサイズミラーレス一眼カメラの"α7Ⅲ"と、レンズは"SEL135F18GM"です。
今回の撮影は、かなり明るい空と、影になる被写体を同時に写すので、非常に明暗差が大きい状況を撮ることになります。
そして、明暗差が大きい光の情報をしっかり捉えるには、カメラのダイナミックレンジの広さが重要になります。
ダイナミックレンジはセンサーサイズの影響が大きく、私が所有している1型センサーのコンデジRX100M5Aでは、今回のような撮影はかなり厳しいだろうなと感じております(例えば、暗い影の部分を現像時に明るくしようとすると、余り情報が残ってなく諧調が乏しい感じになる気がします)。
私は1型センサー機とフルサイズセンサー機しか使用したことがないので、マイクロフォーサーズやAPS-C機でどれくらい綺麗に現像できるものなのかはわかりかねます。申し訳ございません。
現像ソフトはAdobe Lightroomを使用しております。
アンダー(暗め)に撮る
撮影時のポイントは1つだけです。
空の色を出したい場合は、少し暗めに撮る
これだけです。
カメラのデータは、明るすぎる情報(白飛び)より、暗すぎる情報(黒潰れ)の方が豊富に残りやすいです。
白飛びしやすく、黒潰れしにくいということです。
現像時してみると、ほぼ真っ黒になりかけているような暗い部分でも意外と明るくすることができるのですが、白く飛んでしまっているところは白いまま復元できない、ということが多々あります。
それでは実例と共に見ていきましょう。
実例
同じ日に、同じ場所で撮った写真です。空の色と犬の明るさを比べて見てください。
まずは撮ったまま、現像する前のデータです。
思った以上に暗くて驚いた方もいるのではないでしょうか。②と③の差はちょっとわかりづらいですね。すみません。
犬に明るさを合わせて撮ると①のような感じになります。現像しない場合はこれが一番良さそうですよね。
ではこれらの現像後の写真を並べていきます。
犬の明るさが大体同じくらいになるように現像しました(写真に記載しているのは撮影時の設定です)。
①の空を見ると左上の空の部分が真っ白なままなのがわかりますね。これが白飛びしている状態です。
白飛びしてしまっている部分は、データが無いのでどう弄っても真っ白なままになってしまいます。この写真はたまたま空の面積が小さいのであまり気にならないかもしれませんが、空が大きく写ってい場合は結構目立つと思います。
白飛びさせず、極力データを残しておきたいという方は、暗めに撮っておきましょう。
暗ければ暗いほどいいのか
写真の②と③を見比べると、仕上がりにそんなに差がないように見えるかもしれません。
フルサイズセンサー機ですと、ダイナミックレンジが広いので、②も③も問題なく現像できていますが、ダイナミックレンジが狭い機種ですと、設定の許容範囲はより狭くなると思います。
また、フルサイズ機でも暗すぎる部分を明るく持ち上げると、ノイズが出やすかったり、ディティールが潰れがちになったりします。
そこまでいかなくても、②の写真と同じように仕上げるのに、現像時に弄る箇所や数値が多くなるなど、手間が増えるなというのが、私が一番②と③で感じている違いです。
結果は同じようになるかもしれませんが、過程が変わっていきます。
何十枚、何百枚と現像する場合には、この手間の差が結構響いてきます。
次回の記事では"現像編"として、実際の現像時のパラメーターなども見せながら、細かく説明していきたいと思います。
夕焼けと犬の作例集も作りました。
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