【SONY α1】フラッグシップミラーレスカメラを数か月使用した総合的な感想・レビュー【最終版】

α1前面ロゴアップ機材紹介
機材紹介

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※2022年6月にα1のソフトウェアアップデートVer1.30が公開されました!そちらについての所感は下記ページにて語っています。

SONY(ソニー)のフルサイズミラーレスカメラのフラッグシップ機である"α1"(ILCE-1)を発売日に入手し、5ヶ月弱使用してきましたので、一旦区切りとして改めてレビューしていこうと思います。

途中、2021年6月29日にソフトウェアアップデート(Ver 1.10)が配布されて、それによって評価が改まった部分もありますので、その点は都度注釈していこうと思います。

※アップデートの概要は下記リンクにまとめてあります。これにより、発売当初から稀に発生していたフリーズや、環境によってEVFと液晶の表示が上手く切り替わらない不具合等が解消されています。

外観等は下記リンクにて購入当時にファーストインプレッションとして紹介していますので、今回はそれなりの期間使い続けてみて、主にスチル(写真)面について良かったと感じた点AF(オートフォーカス)性能高感度画質等について改めて感想を述べていきたいと思います。

極力、既にアップしているページの内容とはまた違った観点で本ページを作成しているつもりですので、内容によっては以前の記事も併せてお読みいただければと思います。

ページ末尾にα1関連のページのリンクを全てまとめて貼ってあります。

非常に長くなるかと思いますが、ご参考になれば幸いです。

なお、機種の感想については、主に以前使っていた同じSONYの"α7Ⅲ"を比較対象としています。

実際に使用していた機種同士で使い比べた体感を語っていきますので、例えばα1と同じくAF性能が高い"α9"と比べてどれだけ性能差があるかといった事などは触ったことがないのでわかりません。

また、私は写真撮影がメインで動画撮影はほぼしておりませんので、動画性能に関するレビューは今回ありません。

なお、主な被写体は飛翔している野鳥で、それに必要なカメラの性能という観点を基本に述べていきます。

その点ご了承いただきお読みいただければと思います。

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α1を使ってみて感じた良かった点と残念な点

まず、ざっとα1を使ってきて良かった点と悪かった点を挙げていきます(※良かった点は主にα7Ⅲ比)

α1の良かった点

  • センサーダストが全然付着しない(シャッター幕を下ろさなくても)
  • AF性能は総合的には非常に良好(詳細は後述)
  • 高画素機だが、連写性能やダイナミックレンジ、高感度耐性は犠牲になっていない妥協無き性能という印象
  • EVF性能向上により飛翔する被写体でもドットサイト頼みの割合が減少(ブラックアウトフリーと高速リフレッシュレート)
  • そこまで不要とも思っていたが、やはり秒間30連写はあると重宝する
  • カスタム設定の割り当て可能な項目の増加(ISO感度をダイヤルに割り当て、録画ボタンをカスタム可能等)
  • オートホワイトバランスが優秀になった(不自然な色被りがかなり軽減された)
  • タッチ操作可能な新メニュー(慣れれば素早く設定変更可能)
  • 全体的な操作レスポンスの向上、電源起動速度も若干向上
  • Jpegのノイズ処理が非常に優秀っぽい(Jpeg保存はしていないが、RAWのサムネイルを見る限りの感想)

α1の残念な点

  • 望遠レンズ使用時、稀にフリーズする ※アップデートで解消済み
  • 望遠レンズ使用時、稀にF値の制御やAF操作ができなくなる ※アップデートで解消済み
  • 昼光下でファインダーを覗いても液晶から切り替わらない時がある ※アップデートで解消済み
  • Ver 1.10にアプデ後、小さなフォーカスエリア使用時のAF捕捉力が劣化した気がする
  • 肩ダイヤルのせいで、セルフタイマーの設定等が面倒くさい
  • モードダイヤルが回しづらい(ロック機構のせいでグリップを握ったままモード変更できない)
  • 新メニューの階層が深い項目を探すのが結構大変
  • フォーマットが遅い(クイックフォーマットでも)
  • 再生画面のフォーカス枠表示が、動いている被写体だった場合に全く当てにならない ※アプデで若干改善した気がするが、それでも微妙

こんな所ですかね。
基本的に上から良かった、悪かった順に並べています。

※解決済みですが、私が体験した不具合や残念に感じた点の一部についてはこちらで紹介しています。

この中から何点か詳細を説明していきたいと思います。

超音波振動によるアンチダスト機能が非常に優秀

α1においてAF性能や高速連写等が凄いのは当然のこととして、個人的に想像以上に一番あって良かったなと思うのが、α1の少し前に発売されたα7SⅢから新たに搭載されている、超音波式のアンチダスト機能です。

この機能のおかげで、α1を購入してから数か月間、何十回何百回とレンズ交換をしてきましたが、今まで撮ってきた写真でセンサーダストが付いてるなと思った写真は一枚もありません。

※正確には最近撮ったものでダストが付いている写真がありましたが、それもレンズの後玉に付いていたゴミでセンサー側起因ではなさそうでした。

α7Ⅲの時には、センサークリーニングに出して、レンズ交換時もかなり気を使って素早く行っていたにも関わらず、1ヶ月も使用していると自然とセンサーにゴミが付着していることが当たり前でした。

この所為で、絞って撮影することの多い風景写真等を撮るのが億劫になることもあったくらいです。

α1を使うようになってから、そんなストレスが皆無になったことが個人的にはかなり大きかったです。

ちなみに、α1は電源オフ時にシャッター幕を下ろしてセンサーを覆うことができますが、私は普段はその機能をオフにしています。

理由としては、

  • 上述のアンチダスト機能だけで十分だと感じていること
  • デフォルトではシャッター幕機能がオフになっていること
  • シャッター幕機能をオンにしようとすると注意書きが表示されること

このような点が挙げられます。

α1の電源オフ時のシャッター設定画面
電源オフ時のシャッターを「入」にしようとすると
α1の電源オフ時のシャッター設定時の注意表示
このような注意書きが表示される

このような注意書きを見ると、要望が多いからこの機能を実装したものの、実態としてはシャッターが破損した時のリスクの方が大きいのかなと、個人的には理解して積極的には使用しないようにしています。

屋外で塵が舞っている場面や、暫くレンズを外しっぱなしにしてセンサーを剥き出しにし続けてしまう状況等に限って、この機能は使用しようかなと思っています。

タッチ操作可能な新メニューについて

良い点と悪い点のどちらにも書きましたが、超音波式のアンチダスト機能と同じくα7SⅢからメニュー画面が一新されて、タッチ操作も可能になっています。

新メニューの良い点

項目ごとに色分けもされて、以前よりはだいぶ何処に何があるのかわかりやすくなっています。

α1のメニュー画面縦列例別項目に移動してしまう
α7SⅢから一新されたメニュー画面

また、タッチ操作が可能となった恩恵は大きく、慣れると結構素早く設定変更ができます。

マイメニューとして登録できる項目数が多く、また私は設定していませんが、メニューを開いた時にマイメニューから表示するように設定もできますので、頻繁に決まった設定を切り替える方にとっては非常に使い易くなっているのではないかと思います。

従前のメニューと比べたら圧倒的に新メニューの方が使い易いと思います。

新メニューの悪い点

新メニューになった恩恵の方が大きいのは間違いないのですが、それでも使っているとちょっとわかりづらい、使いづらいなと思う点があったので紹介しておきます。

個人的に気になったのは以下の点です。

  • 階層が深いメニューについては探すのが非常に大変
  • メニュー項目をスクロールして見ていく時に同項目内で循環スクロールができない
階層の深いメニューについて

一番気になっているのはこの点ですね。

まずメニュー画面を開くとこのような階層でメニューが開かれます。

α1のメニュー画面第2階層
メニュー画面の初期階層

「マイメニューから表示」を設定していない場合は、最後に選択した項目・階層が表示されます。

基本的にはこのように3階層分のメニュー項目が表示されている状態から設定したい項目を選んでいくのですが、項目によっては第4階層目が存在するものがあるのです。

この4階層目に存在する設定項目を初見で探すのは結構大変に感じたのをよく覚えています。

具体的な例として、「電源OFF時のシャッター」(シャッター幕を閉じるかどうか)という項目を探していきたいと思います。

結論から言うと、上の写真の「アンチダスト機能」の中に含まれています。

α1のメニュー画面第3階層
第3階層を表示

3階層目を表示させると、「アンチダスト機能」の項目に更に続きがありそうな記号が見えます。

「アンチダスト機能」を選択して見ると、

α1の電源オフ時のシャッター設定画面
第4階層

これでようやく「電源OFF時のシャッター」が出てきました。

このメニューを初めて触る際に、この項目を探し出すのは結構大変だと感じるのは自分だけではないのではないでしょうか。

このように、ある程度どこに何があるのかというメニュー構成を把握するまでは、目的の項目を探すのに手間取ることがあります。

慣れてしまえばなんてことないですけどね。

項目のスクロール時に同項目内で循環スクロールができない

これが使いづらいと思うのはもしかしたら少数派かもなという気もしていますが、一応述べておきます。

α1のメニュー画面縦列例第1階層
「撮影」項目内の第2階層例

上の写真で選択している左列の赤色になっている「撮影」に関する項目を例に説明していきます。

この写真の状態から下を押すと、「撮影」内の縦列の第2階層がでてきます。

α1のメニュー画面縦列例第2階層
「撮影」内の縦列の第2階層

この縦列の階層も、前項の内容と同様に最初の表示画面からは見えづらいので若干探しづらいですよね。

そして、私の感覚ですとここから更に下を押していくと「撮影」内で循環するのが何となく自然に感じるんですけど、実際は次の大項目である「露出/色」に移動してしまいます。

α1のメニュー画面縦列例別項目に移動してしまう
次の項目「露出/色」へ移動してしまう

何となく言いたいこと伝わりますかね?

まあこの感覚は個人差があると思いますので、このように移動していく方が自然と感じる方も多いと思います。

また、循環しなくても前の項目に戻りたい時はタッチすれば素早く戻れますので、私自身違和感は感じつつもそこまでストレスには感じていません。

こちらも慣れれば気にならないことだと思います。

フォーマットが完了するまでの時間が長い(クイックフォーマットでも遅い)

これは地味にガッカリしたポイントかもしれません。

まあ私は初めての一眼カメラがSONYのα7Ⅲだったので、元々こんなもんかと気にしていなかったのですが、どうもレビュー等を見るとSONY製カメラのメモリーカードをフォーマットする時間は他社と比べると非常に遅いらしいです。

ニコンやキャノンなんかはほぼ一瞬でフォーマットが完了するらしいですね。
ソニーは数秒かかります。

それが、α1から新たに「クイックフォーマット」と「フルフォーマット」という二種類のフォーマット方法に分かれたので、てっきりクイックフォーマットは非常に速くなっているのかなと期待していました。

それが実際は、クイックフォーマットが以前のα7Ⅲのフォーマットと同じくらいの速さで、フルフォーマットは更に時間がかかるという感じだったのです。

まあ期待していた分ガッカリはしましたが、個人的には強いてあげるならといった程度で、ほとんど問題には思っていません。

フォーマット関連で最近知ったことを捕捉しておきます。

SONYのカメラがフォーマットに時間がかかる要因として、ちゃんとデータを削除しているというのがあるみたいです。

当たり前のことを言っているかと思うかもしれませんが、他社製のフォーマットが速いカメラは、フォーマットしてしまった後でも、復元ソフトを使うと画像を復元できる可能性が意外と高いようなのです。

ですが、私は先日画像を全て取り込む前に誤ってフォーマットをしてしまったことがあり、何とか復元できないかと色々調べてみたのですが、どうもSONYのカメラの場合は復元できる可能性が低いようで、実際に複数のソフトを試してみましたが、結局画像の復元はできませんでした。

なので、SONYのカメラを使っている方はフォーマットをする際はより慎重に行うことを推奨します。

AF性能について

※基本的なAFの速度や精度についてはこちらでも紹介していますので是非ご覧ください。

今回の記事では、上記リンクとはまた少し別の視点でAF性能について掘り下げて述べたいと思います。

AF精度について

動いている被写体を撮った際、トリミングをしないのであれば全く気にならないレベルなのですが、がっつりトリミングをしても一切文句無しと思える100点満点の写真が撮れる確率は意外と低くて、体感20%くらいかなという印象です。

胸を張って歩くキジ
ピントちょい甘
歩き回るキジ
ピント満点

上の写真は、同じ場面で撮った、数m先を横切って行ったノートリミングのキジの写真です。

のんびりと歩いて行った場面で、撮影状況は決して厳しくありません。

使用レンズは"SEL100400GM"にテレコン"SEL14TC"を装着、撮影設定はどちらも〈F8 1/1250秒 ISO1600 レンズの手振れ補正はオン、手持ちでの撮影〉となっています。

トリミングしていない場合には、どちらもピントの問題は感じないと思いますが、これをLightroomで拡大した画面をスクショして見ると、

旨を張って歩くキジの顔アップ
顔が少しモヤっとしている印象(80点)
歩き周るキジの顔アップ
目の周りもクッキリとした描写(100点)

顔のクッキリとした描写の具合が異なることがわかるでしょうか(もしかしたらピント精度ではなく微ブレ等による影響もあるかもしれませんが)。

個人的にはザックリ採点で、一枚目がピント80点(★3)、二枚目が100点(★5)といった感じで振り分けています。

このように、拡大して見ないとわからない写真毎の差があるので、ぱっと見同じような連写の写真でも、私は極力ピント部を拡大してレートを振り分けておくようにしています。

その際は下記リンクに記載の再生モードのカスタム設定をして、カメラ内で確認するのが役に立っています。

※静止画撮影時のカスタム設定紹介ページも作成しました。よろしければどうぞ。

個人的な超ザックリとした体感としては、飛んでいる被写体をリアルタイムトラッキングでしっかりと捕捉してから連写した場合に、まず80点以上の写真が撮れるのがテレコン無しだと90%~95%くらい、1.4倍テレコンを付けると80~85%くらいといった印象でしょうか。

そして、その中の内訳が、1.4倍テレコンを付けた状態だと「100点=20%、中間の90点=60%、80点=20%」といった感じでしょうか(テレコン無しの場合はあまり試行数も無く、自分の中でパッと数字が思い浮かばなかったので割愛します)

このAF精度について、Ver 1.10のアップデート以降はほんの僅かに100点の可能性があがったようにも感じています(代わりに80点も増えた気もします)。

「100点=30%、90点=40%、80点=30%」といった感じですかね。

※なお、これらの数字については、今までの写真を数えたりなどは一切せず、何となく自分の体感で浮かんだ数字を印象で述べただけですので、あまり参考にはしないでくださいね。

ちなみに、飛んでいる被写体において、α7Ⅲで撮っていた時は同じレンズ、テレコンを使用しても80点以上の写真を撮れるのがそもそも20~30%くらい(リアルタイムトラッキングが無いので、フォーカス枠内にずっと被写体をキープし続ける必要有り)という印象でしたので、以前とは比べ物にならないくらい快適にはなっています

※α1予約時に、α1を予約した理由をα7Ⅲの撮影失敗例と共に述べたページがあります。失敗写真をご覧になりたい方はどうぞ(笑)

100点の写真なんかは一日一枚でもあればラッキーというレベルでしたので、現在ではそれが量産されてしまい写真の整理に逆に苦労しているくらいです(笑)

逆光でもAF精度は正確

逆光時に被写体が暗く潰れがちな状況でのAF性能については、更にα7Ⅲと大きく差があるように感じています。

夕方の逆光写真例を紹介します。

夕焼け空に逆光で写るチョウゲンボウ
α1 SEL100400GM+SEL4TC F8 1/2500秒 ISO250 圧縮RAWで撮影

逆光下で空の色が白飛びしないように撮ると、被写体はどうしても暗くなってしまいます。

シルエットとしてこのまま現像も完成させる分には問題無いのですが、ここからシャドウを持ち上げて被写体の姿も見せようとすると、α7Ⅲで撮った場合ではピントが結構甘くて、持ち上げた現像はできないということが多々あったように記憶しています。

α1ではこのような場面でも被写体に正確にピントが合っていることがほとんどです。

夕焼け空に逆光で写るチョウゲンボウのシャドウを持ち上げた写真
現像でシャドウを持ち上げた写真

このような感じで、シャドウを持ち上げた現像も問題無くできるので、現像する際の方向性の選択肢が増えます。

また、最初の暗さからここまで持ち上げてもしっかりと被写体の情報が残っているように、ダイナミックレンジの広さも十分にあります(後述するノイズの問題はありますが)ので、とりあえず極端すぎる白飛びや黒潰れがないように撮っておけば、細かな露出設定は後回しにして安心して撮影に集中することができています。

暗所AF性能もより向上

夜景の撮影時等でも、AF性能が向上しているように感じています。

今までは諦めてMF(マニュアルフォーカス)を使用していたような場面でも、AFだけで乗り切れているような印象を持っています。

ガスタンクが際立つ工場夜景
α1 SEL100400GM F16 8秒 ISO320

このような工場夜景の撮影においても、ピントを合わせたい位置にフォーカス枠を持ってきて、好きな場所にピントを置くことができました。

この日はα7Ⅲも持っていき、2台で撮っていたのですが、α7Ⅲの方ではなかなかピントが合わずに苦労し、明確に差を感じたように記憶しています。

空や海が背景の場面ではカメラ任せでほぼ大丈夫

空や海(自分が実際に撮ったのは池ですが)が背景の場合には、ほぼ無敵といった感じで、フォーカスエリア「ゾーン」や「ワイド」といった広いエリアでAFオンするだけで、大体ピントを合わせてくれ、そしてリアルタイムトラッキングの場合はそのまま被写体を捕捉し続けてくれる印象です。

背景が空の場合というのは、恐らくどのカメラでも一番容易なシチュエーションで、α7Ⅲでも結構正確にピントを合わせてくれていましたが、水面というのは意外とピントが持ってかれてしまう場面も時々あったような印象でした。

それがα1だと、ほぼ空と同じような感覚で水面でも被写体にピントが合っているなという感じです。

魚を咥えたコアジサシ
α1 SEL100400GM+SEL4TC F8 1/2000秒 ISO2500 ロスレス圧縮RAWで撮影

こんな感じの被写体まで遠目かつ被写体から背景の水面までそんなに距離が無くて、ピントが背景に取られてしまいそうな場面でも成功率は非常に高いです。

拡大してみます。

魚を咥えたコアジサシのトリミング
被写体を拡大(長辺3996pxにトリミング)

あまり精細に写った写真ではないですが、ピント合焦部分の確認はできるかと思います。

ちなみに、よくα9のレビュー等で、フォーカスエリア「ゾーン」が優秀で使い易いという評判を目にしていたような記憶があったのですが、正直α7Ⅲではそれを実感できたことは少なかったです(空では使えるが、水面では中央固定等の方が間違いが無く撮れた印象)。

それが、α1を使うようになってからゾーンの優秀さを実感できるようになった気がします。

現在は飛翔体を撮る際は、背景が建物等でスッキリしない場面でも大体ゾーンの設定のままで乗り切っています。

ごちゃついた背景等の場面でのAFについては全幅の信頼は置けない

木の枝が入り組んで被写体に被っていたり、背景に建物やフェンスが会ってスッキリとしていない場面等では、流石に狙った被写体にピントを合わせてくれる確率が低くなり、状況に応じてフォーカスエリアを変更するなど工夫が必要になってくるかと思います。

枝が入り組んで被写体と被る場面

例えばこんな場面。

木の隙間から見えるカワセミ
α1 SEL100400GM+SEL4TC F8 1/400秒 ISO2000 ロスレス圧縮RAWで撮影

これだけ被写体に枝が被っているような状況ですと、フォーカスエリアを一番小さなスポットSにした場合でも、リアルタイムトラッキング使用時は指定したスポットからずれて高確率で枝を捕捉してしまいます。

一応このような状況でも、稀に鳥の頭の向き次第で鳥瞳AFが発動してくれることもありますが、頭が少し動いて瞳を認識しなくなった途端にまた枝にピントが合い続けたり、ぱっと見は瞳AFが作動しているように見えても、後から撮った写真を見返すと結局枝にピントが合っていることも珍しくなく、リアルタイムトラッキングをオフにしていないと歩留まりが非常に悪いと感じています。

なので、私はカスタムボタンに「再押しトラッキングOFF」という機能を割り当てることにより、瞬時にトラッキングを無効にさせて、自分が指定したフォーカス位置でAFを合わせられるような設定にしています。

上の写真は、上記の説明のとおり〈フォーカスエリア「スポットS」、「再押しトラッキングOFF」を作動させ、実質トラッキングのない只のAF-Cモード〉にして撮影しました。

背景がごちゃごちゃしている場面

次にこのような場面。

こちらに向かって飛ぶコアジサシ
α1 SEL100400GM+SEL4TC F8 1/4000秒 ISO800 ロスレス圧縮RAWで撮影 長辺6816pxにトリミング

これは成功した例ですが(失敗写真は基本取り込まずにカメラ上で削除してしまっています)、こんな感じで背景にフェンスやブロック塀等が存在しており、また背景が何かわからないくらいには大きくボケないような場面では、どうしても背景にピントを持ってかれてしまうケースが結構有ります。

ただ、このような場面でも、一度被写体を捕捉させてトラッキングさえできれば、その後の連写中は高確率でピント追従し続けてくれます(被写体追従感度はデフォルトの3または4を使っていました)。

建物の近くを飛び交うチョウゲンボウ
α1 SEL100400GM+SEL4TC F8 1/2000秒 ISO12800 圧縮RAWで撮影

この写真は、これより前のタイミングで、左側の背景に奥行がある場所で被写体の捕捉を開始して連写した最中の一枚です。

上手く捕捉ができればその後背景が被写体と近めな建物になっても追従し続けてくれているのがこの写真から伝わるかと思います。

また、仮に最初のAFオン時に背景を捕捉してしまった場合も、しっかりとフォーカスエリア内に被写体を入れて2、3回AFを作動させなおすと、大体1回くらいは撮りたい被写体を捕捉してくれるかと思います。

これがドットサイト頼みで当てずっぽうでAFを作動させてしまうと、仮に背景を捕捉してしまった場合に優秀なトラッキング性能が仇となって、背景を追従し続けてしまうので、連写した写真全てが没になってしまう恐れがあります(偶に途中から被写体にピントが移って追従してくれたケースもあります)。

なので、当たり前のことではありますが、ポイントとしては照準器(ドットサイト)を使っている場合でも、できるだけEVFも覗いてちゃんと捕捉できているかを確認することが歩留まりを向上させるのに必要かなと思っています。

これは後述するEVF性能の向上によって、照準器頼りになりすぎずに、ファインダー越しでもある程度被写体を追えることと繋がってきます。

また、私は連写写真の全滅を防ぐため、ドットサイト越しで撮っている時は、細かく連写を中断して、何度もAFを再オンさせながら撮ることが多いです(ちなみにシャッター半押しではなく親指AFに設定しています)。

フォーカスエリアについてですが、当初は被写体を収めやすい「ゾーン」を基本としつつ、更に厳しそうな状況ではよりピンポイントで使える「中央固定」または「スポットL」等を使っていましたが、後述するアプデ後のAF挙動の変化により、現在はほぼ「ゾーン」のみを使用しています。

かなり広めである「ゾーン」でも、何度かAF作動させれば、全く補足してくれないということはそんなに無いかなという印象です。

ちなみにα7Ⅲの時は、そもそもトラッキングが無く、またゾーンが全然役に立たなかった印象でしたので、このような場面では「中央固定」ほぼ一択で、完全なドットサイト頼りで撮影していました。

トラッキングでは無いので、連写中の写真でも一度ピントが合っていても、被写体が中央からズレる度にピントが外れ、また合ってということを繰り返していたイメージがあります(ただAF処理速度もα1程ではないので中央からズレても数コマはピントが粘ってくれることが多く、いい意味で多少アバウトでも撮れる感じでした)。

なので、α7Ⅲで撮っていた時は、1回の連写で1枚でも上手く撮れていれば全然良い方だと思っていたように記憶しています。

そう考えると、α1にしたおかげで以前より圧倒的に高確率で撮れるようになっていますね。

なお、逆にα1はAF処理が速すぎるので、あまりフォーカスエリアを小さくしてしまうと、操作する側もよりシビアに被写体をエリアに収め続けなければいけない印象でしたので、結果としてそれなりに広い「ゾーン」が使い易く感じるのかなと思っています。

驚くほど遠距離でも鳥の瞳を認識することも(精度は不明)

α1から搭載された鳥の瞳AFですが、鳥が横を向いている時はそこそこの確率で瞳認識してくれる印象です。

また、よく認識してくれる割には鳥じゃない物体への誤認識は割と少なめかな(Ver 1.10にアプデ後若干誤認識が増えた気もしますが)とも思いますので、常時オンにしていても足を引っ張ることは無く、素直に使える機能だと思っています。

鳥の嘴のフォルムが認識のポイントとなっているのか、嘴の長いカワセミ等は特に瞳AFが作動しやすい印象です。

水面を飛ぶカワセミ
α1 SEL100400GM+SEL4TC F8 1/800秒 ISO500 ノートリミング

これだけ距離があってカワセミが小さく写っても、一連の連写中は全て瞳AFが作動していたように記憶しています。

一応トリミングした写真も貼っておきます。

水面を飛ぶカワセミをトリミングしたもの
長辺3703ピクセル(元は8640px)にトリミング

拡大してもピント問題ないかと思います。

もう一つ、撮った際に非常に印象に残っている写真を紹介します。

カワウのコロニー
α1 SEL100400GM F8 1/1250秒 ISO400 ロスレス圧縮RAWで撮影

カワウのコロニーです。木にカワウの巣が沢山造られています。

恐らく撮影場所から100mくらいは離れていたのではないかと記憶していて、これをフォーカスエリア「ゾーン」で雑に撮っていたのですが、こんな状況でもこの中の1羽に鳥瞳AFが作動したのです。

SONYのImagingEdgeアプリでフォーカス枠を表示させた画像を紹介します。

カワウのコロニーのAF枠を表示した画面
ImagingEdgeでAF枠表示をさせた画面のスクショ

画面中央の少し左上の巣にいる一羽が緑色の枠で囲われているのがわかるでしょうか。
枠の大きさからして瞳AFの枠だと思います。

認識した時「本当に?」って笑いながら撮影したのを非常に鮮明に覚えています。

なお、被写体までの距離がありすぎて被写界深度が深いので、正確に瞳にピントを合わせているのかどうかは判別できません。

Ver 1.10にアップデート後のトラッキング捕捉力の劣化

そしてAFについて今一番不満なのが、Ver 1.10のソフトウェアアップデート以降、AF(リアルタイムトラッキング)の捕捉能力が劣化したように感じていることです。

厳密には、フォーカスエリア「ゾーン」や「ワイド」は今までとほぼ使用感変わりなく使えているのですが、フォーカスエリアを小さくした「中央固定」や「スポットS~L」等を使った際に、指定した位置と大きく離れた場所を捕捉してしまうことが増えて、エリアを小さくするメリットが感じづらくなってしまったように感じたことです。

アップデート後の撮影で特に印象に残っている事例を紹介します。

リードを前ボケにした散歩中の犬
α1 SEL50F14Z F1.4 1/1000秒 ISO100 ロスレス圧縮RAWで撮影

こんな何てことない場面で、フォーカスエリア「スポットS」にして犬の顔付近にエリアを移動させているにも関わらず、AFオンにした途端に手前のリードを捕捉してしまうということが起こりました(発生時はもう少しだけリードが顔付近にあった気もしますが)。

そこから何度かAFボタンを再押ししたのですが、一度も犬の顔を捉えてくれることは無く、結局この写真はトラッキングをオフにして撮りました。

この写真で使ったレンズはAFが遅めの"SEL50F14Z"でしたが、私が一番AF性能において信頼している"SEL135F18GM"を使用した際も似たような状況があったように記憶しています。

このような楽な場面でもこんな状態ですので、先ほど紹介したような、背景がごちゃついている飛翔体を撮る場面なんかでは更に捕捉してくれなかったりします(SEL100400GM使用)。

アプデ前までは背景がごちゃつく時はフォーカスエリアを小さくすることが効果的だったような気がするのですが、現在は「ゾーン」のままにしておいた方が歩留まりが良い気がしています。

動きものを撮る際はフォーカスエリアを小さくするメリットが全く感じられなくなってしまったんですよね。

またこれも"SEL100400GM"使用時の話ですが、背景が空の場面でも、特に被写体より奥にピントが行っている状態から手前の飛んでいる被写体にピントを合わせようとした際に、いつまで経ってもピントが来ないということが何度かありました(これも「ゾーン」や「ワイド」なら軽減される印象です)。

このせいで、シャッターボタンを押しているのですが、ピントが迷い続けているのでいつまで経ってもシャッターが切れず、結局シャッターチャンス中一枚もシャッターが切れないということが起こりました(「AF-C時の優先設定」は「バランス」にしています)。

アップデート前は多少ピントが甘かったとしても、シャッターが一回も切れないということは経験したことが無かったので、アップデートの影響によるものだと思っています。

これには相当イライラさせられ、正直撮影中に舌打ちするようなことが何度もありました。

以上のことから、個人的にはアップデート内容に記載のあった「AF性能と動作安定性向上」についてはAF性能の劣化だと思っています。

この点についてはサポートの方にも改悪だと思うという旨を連絡しました。

更なるアップデートを強く望んでいます。

高画素の恩恵

遠くの動物を撮ることの多い自分にとっては、遠慮なくトリミングできる高画素機の恩恵はやはり非常に大きいなと感じています。

ベランダに留まったイソヒヨドリの幼鳥
α1 SEL100400GM+SEL4TC F8 1/640秒 ISO1000 ノートリミング

幸運にも6mくらい先のベランダに留まってくれたイソヒヨドリの幼鳥です。

ここから被っているベランダ部分を取り除くようにトリミングすることも5000万画素あれば容易に可能です。

イソヒヨドリの幼鳥のドアップ
長辺3889pxにトリミング

羽毛も1本1本細かく解像してくれています。
また、ここまでトリミングしても1000万画素程度残っていますので、プリント等も全く問題無くできるかと思います。

もう1例、先ほど貼った工場夜景を再度紹介します。

ガスタンクが際立つ工場夜景
α1 SEL100400GM F16 8秒 ISO320

これ、画面右端の方の車のナンバーなんかも拡大したら見えました。

そこを公開するのはマズいかと思うので、画面左の方の看板を拡大してみたいと思います。

ガスタンクが際立つ工場夜景を若干トリミング
Lightroomで少し拡大した画面をスクショ

私のPC上でLightroomにて若干拡大した画面のスクショが上の画像です。

この左端の看板にクローズアップしていきたいと思います。

ガスタンクが際立つ工場夜景を更に大きくトリミング
Lightroomで100%表示にしてその一部をスクショした画像

Lightroomで100%表示にし、更に一部分を切り取ってスクショした画像です。
下段の小さな文字以外は問題無く読めるのではないでしょうか。

なんやかんやで画素数は正義だなと思いました。

また、基本的にロスレス圧縮RAWまたは圧縮RAWで撮っているので、α7ⅢのRAWデータともそこまで容量差が無く撮れていることも非常に有難いです(約50~60MB/枚くらい)。

最近気づいたロスレス圧縮RAWの注意点として、一部の編集ソフト等が未だに対応していない場合が有るということがあります。

具体的には、DxO"PureRAW"というオートでノイズ処理をしてRAWデータを生成してくれるソフトを最近使っているのですが、こちらは現状(2021/8月時点)、ロスレス圧縮RAWのデータは上手く読み込むことができません。

いずれ対応する予定というのは英文のサイトで見た気がします。

また、今は配布終了されているSONY"RAW Driver"というPCのエクスプローラー上でも、画像ファイルと同じようにサムネイルを表示してくれるソフトにおいてもロスレス圧縮RAWのデータはサムネ表示がされないといったことを経験しています。

こんな感じでまだ対応されていないソフトがあるかもしれませんのでちょっと注意が必要です。

高感度ノイズ耐性について

高画素機になることで気になるのが高感度ノイズ耐性ではないでしょうか。

一般的には低画素機の方が高感度ノイズ耐性がある(ISOを上げてもノイズが少ない、目立たない)とされています。

自分のα1に対する所感を先にまとめると、

  • トリミングしないのであれば、α7Ⅲとほぼ遜色なく使える
  • 被写体を適正露出で撮れれば(特にシャドウを持ち上げることが無ければ)、ISO12800でも多少トリミングしても十分使える

こんな感じです。
この中でも下段について、具体的な写真と共に解説していきます。

高感度で撮影したチョウゲンボウの現像前
α1 SEL100400GM+SEL4TC F8 1/2500秒 ISO12800 露出±0 ノートリミング 現像前 圧縮RAWで撮影

こちらがISO12800で撮った写真の、トリミングおよび現像前の写真です。

この時はISOオート(上限12800に設定)で撮っていて、背景が暗いのでISO12800と上限に達しました。

このデータであれば、私には若干露出オーバーに感じるくらい(ISOオートの挙動については次項で述べます)なので、現像はどちらかというと明るさを抑える方向になり、暗部を持ち上げる必要が無いので、ノイズ間もあまり感じない写真になるかと思います。

という訳で明るさを抑えた(背景を暗めにして被写体を浮かび上がらせたい)現像後がこちらです。

高感度で撮影したチョウゲンボウの現像後
明るさを抑えた現像後

目の光等も失われ気味なので、正直現像前の方が良い気もしますが(笑)、とりあえず進めていきます。

ここから上の木以外の部分が無駄なスペースに感じるので割と大幅にトリミングしてみます。

高感度で撮影したチョウゲンボウのトリミング
現像、トリミング後(長辺5274px)

こうなりました。

ノイズ除去については、Lightroomのノイズ軽減を控えめに"12"にしただけですが、その割には全然ノイズ感が少ないように私は感じているのですが、いかがでしょうかね。

現像前のトリミングだけした画像も貼っておきます。

高感度で撮影したチョウゲンボウの現像前トリミング
現像前、トリミング後 (長辺5274px)

ということで、暗部を持ち上げる必要の無い写真が撮れれば、ISO12800でも個人的には十分問題無い画質が得られると思っています。

逆に、暗部を持ち上げる必要が生じるデータの場合には、α7Ⅲよりもノイズが目立ちやすい印象を持っています。

こちらも例を挙げていきます。

至近距離を飛ぶチョウゲンボウの現像前
α1 SEL100400GM+SEL4TC F8 1/2500秒 ISO3200 露出-0.3 ノートリミング 現像前 圧縮RAWで撮影

恵まれた距離で撮れたチョウゲンボウの写真ですが、今度は空が白飛びしないように、被写体が暗くなってしまっています(露出補正も-0.3で撮っているので尚更です)。

こちらを現像、トリミングしていきます。

至近距離を飛ぶチョウゲンボウの現像後
現像トリミング後

ダイナミックレンジは広く、暗部にもデータは非常に豊富に残っていますので、シャドウを持ち上げればしっかりとチョウゲンボウの姿が浮かび上がってきます。

個人的には、ここまでシャドウを持ち上げたとしても、これくらいのトリミング量であればノイズ感はあまり気にならず全然OKかなと思います。

ただ、せっかく至近距離で撮れたのでここから更にトリミングをしようとすると、ノイズがかなり気になってきます。

至近距離を飛ぶチョウゲンボウの現像後をトリミング
Lightroomで100%表示した画面をスクショ

Lightroomで100%表示した時の画面です。

このサイズで見ると、非常に細かくびっしりと粒子が乗っているの見えるかと思います。

この感じが、α7Ⅲより高画素な分より拡大できるからこそではあるのですが、高画素機がノイズが目立つと言われがちな所以なのかなと思っています。

このような経験から、当初α7Ⅲを購入した頃は、白飛びしないように若干アンダー目に撮っておくことがセオリーというようなハウトゥーをよく見かけ、実践していたのですが最近は極端に白飛びしない範囲で、何ならオーバー目で撮っておく方がノイズのことも考えたら楽だなと思うようになっています。

露出オーバーで撮れたとしても、最新のカメラであれば思った以上に明部もデータが残っているんだなと思う場面も結構有りましたので、最近は本当にオーバー目で撮ることが気にならなくなりました。

ちなみにこの写真のようにISO3200でシャドウを持ち上げると、経験上α7Ⅲでも同様にノイズが目立つと思います。

個人的な体感として、シャドウを思いっきり持ち上げる場合に、

  • α7Ⅲ=ISO1600以上から(軽微なノイズは800から)
  • α1 =ISO800~1000くらいから(軽微では400から)

これくらいがノイズが目立ってくる目安かなと思っています。

今までのα7Ⅲの経験上から、ISO800くらいまでで撮れるなら、結構アンダーに撮ってしまっておいても後で現像で何とかなる感覚でいたのですが、α1にしてからは更に低感度で撮ったとしてもノイズが見えてくることが結構あったので、最近はできるだけISOオートに頼って、できるだけ被写体に対して適正近くで(何ならオーバー目)で撮れるように心掛けるようになりました。

ちなみに、ノイズが乗ってしまった写真のノイズ処理に、先ほど名前だけチラッと挙げたDxO"PureRAW"というソフトが重宝しています。

至近距離を飛ぶチョウゲンボウのノイズ処理後
PureRAWでノイズ処理したRAWデータを現像、トリミング

PureRAWを使用した写真がこちらです。

ちょっと絵っぽくなってしまっている感じは否めませんが、ディティールは概ね保たれたまま、ノイズは非常に綺麗に処理されてツルっとした写真になっています。

ということで正直、露出アンダーでもオーバーでも、いかようにもやりようはあるかなと思っています(笑)

ただ、ソフトを使う手間等を考えると、やはり撮影時にノイズが乗らないように心掛けることが後々自分の為になるかなとも思います。

ISOオートやAモード(絞り優先モード)等使用時の露出挙動について

前項で、ISOオートをより使うようになったと述べましたが、その際に気づいたのがα7Ⅲとの露出挙動の違いです。

α7Ⅲでは測光モードはデフォルトの「マルチ」(各エリアごとに測光し、画面全体の最適な露出を決定するモード)でしか使っていませんでしたが、例えば屋外で散歩中の犬を撮っていると、マルチと言っても基本的には被写体に明るさの基準がいきがちで、露出補正±0で撮っていると、空が白飛びしてしまうことが当たり前だったように記憶しています。

なので、前述したアンダー目に撮っておくという意識も相まって、α7Ⅲ使用時は露出補正-0.3~-0.7くらいに設定しておくことが基本でした。

それが、α1で同じような使い方をしていると、とにかくやたら暗く撮れるなあと発売当初から思っていました。

最近明暗差の激しい場面での鳥等もISOオートで撮るようになったお陰で何となくわかってきたことは、α1での露出基準は、とにかく白飛びも黒潰れもなるべくしないように撮ろうとしているんだなということでした。

だから、空が入っている屋外の写真では犬がやたらと暗めなんだなということで合点がいきました。

至近距離を飛ぶチョウゲンボウの現像前
露出補正±0 測光モード「マルチ」だったと気がします

先ほども貼ったこの写真も、空が飛ばないように、より全体の明るさのバランス重視になったα1だからここまで被写体が暗くなったのかなと推測しています。

確かこの写真を撮ったからこそ、測光モードや露出補正の値を意識するようになったのだと思います。

そしてこのバランス重視の傾向は、測光モードを「スポット」等に変更することによって、多少軽減されるかなという手応えは掴んでいますが、まだまだ試行錯誤中です。

もう一枚、こちらも先ほど紹介した写真を再掲します。

高感度で撮影したチョウゲンボウの現像前
恐らく測光モード「スポット(大)」で撮影 ISO12800(オート時の上限設定) 露出補正±0

これは木の陰等の黒い部分が黒潰れしないように、ISOが12800まで上がったのかなと想像しています。

これは先ほどの暗い写真以降に撮った写真ですので、恐らく測光モードは「スポット」を使っていると思います。

多分「スポット大」、測光位置は「フォーカス位置連動」にしていますが、フォーカスエリアを「ゾーン」にしている場合では、「フォーカス位置連動」がちゃんと作動するのかがよくわかりません(フォーカスエリアが「スポット」等の小さい場合は、フォーカスエリアを移動させるとスポットサークルも連動して移動するのですが、「ゾーン」の場合は連動して移動してくれず、スポットサークルが中央のままなんですよね)。

なおこの写真、私はISOオート時の上限を12800にしていたので、この明るさで収まりましたが、仮に上限設定をしていなくて、更にモード「マルチ」だった場合はよりISOを上げて明るく撮ろうとしたのではないかなと予想しています。

ということで、もっとα1の特性を掴んでいき、環境に合わせて適宜測光モードや露出補正を変更していく必要があるなと感じています。

ちなみに現在は空が背景の時等では、前項で述べた通り、オーバー目で撮ることも良しとしていることも相まって、α7Ⅲでは全く使わなかった露出+補正が基本となりつつあります。
それでも空が飛んでしまうような明るさにはそうそうなりません。

EVFについて

EVFはα7Ⅲとは雲泥の差があります。
やはりα7Ⅲのように連写時に一枚毎にブラックアウトしてしまうEVFでは、その間に被写体を見失ってしまうことが多く、EVFで追い続けるのは個人的には不可能に近かったです。

それがα7Ⅲではほぼほぼドットサイト頼みで飛翔体を撮っていたものが、α1にしてからは、余程近距離(数m以内)を飛ばない限りは、EVFで被写体を追い続けることができます。

現実には、集中してEVFばかり使い続けていると目の疲労が凄いので、EVFとドットサイトの使用割合は私は半々といったところでしょうか。

やはりなるべくEVFで被写体を追う方が、構図も考えながら撮影ができますし、AFのトラッキングがちゃんと捕捉できているかも逐一確認できるので、可能な限りEVFを見ながら撮影できることが望ましいと思います。

また、α1にはファインダーフレームレート(リフレッシュレート)を三段階に設定できる機能がありますが、それを状況に応じて変更することも、快適な撮影には必須かと思いました。

EVFのフレームレートは以下の三種類から選択できます。

  • 標準=60fps、高画質、ファインダー倍率0.9倍(「縮小」に設定も可)
  • 高速=120fps、ファインダー倍率0.9倍(「縮小」に設定も可)
  • より高速=240fps、ファインダー倍率「縮小」に固定(表示が小さくなる)

これが設定によって、画質の差が結構出るんです。

画質の差を顕著に感じた場面で、ファインダーにiPhoneを突っ込んで撮った写真を紹介します。

まずは3枚並びで。

ファインダー設定60fpsの画面
標準(60fps)
ファインダー設定120fpsの画面
高速(120fps)
ファインダー設定240fpsの画面
より高速(240fps)

240fpsだけは、ファインダー倍率が「縮小」になってしまうので、表示が小さくなります(大体覗いた時のサイズ差を維持できるよう、それぞれ同程度にトリミングしたつもりです)。

これらの写真は倉庫の屋上緑地にいるチョウゲンボウを写しているのですが、この倉庫のような規則的な線が連続している被写体で、線のエッジ等に明確に画質差が表れるように感じます。

一枚ずつ大きく貼っていきます。

ファインダー設定60fpsの画面
標準(60fps)
ファインダー設定120fpsの画面
高速(120fps)
ファインダー設定240fpsの画面
より高速(240fps)

どうですかね。「標準」では建物の横線もスッキリと描かれているのに対し、「より高速」では線はジャギジャギだし、偽色が出ているのもわかるかと思います。

実際にもこんな感じで見えましたので、最初「より高速」に設定してこの場面を覗いていた時に、非常に不快かつ目がとんでもなく疲れるのを実感しました。
速さを重視すると現在の技術では画質が損なわれてしまうのですね。

他には、写真例はありませんが、夜景の撮影なんかでも画質の差を感じやすいです。

ファインダーの設定を変える重要性が伝わりましたでしょうか。

私はすぐに切り替えられるように、カスタムボタンに「ファインダーフレームレート」を割り当てています。

※静止画撮影時のカスタム設定についてのページを作成しました。

秒間30コマ連写について(20連写と比較)

α1を購入する前の予約段階では、「正直秒間30コマ連写よりも、ロスレス圧縮RAWで20コマ連写できることの方が個人的には価値がある」と述べていましたが、やはり状況によっては30コマ連写があって良かったと思うシーンが沢山ありました(何ならもっとコマ数あっても困らない(笑))

ただ鳥が羽ばたいて飛んでいるだけのシーンなんかは予想通り20コマでも十分なんですけどね。30コマもあると同じような写真を量産してしまいます。

ですが、動物が獲物を狩るような決定的な瞬間においては、やっぱりコマ数が多いと助かります。

あまり参考にならなそうですが(笑)、チョウゲンボウがセミを捕らえるシーンを、それぞれ秒間20コマと30コマで撮ったものがありますので、連写した写真の一部を紹介します。

まずは秒間20コマ(ロスレス圧縮RAW)で撮った写真です。

ミンミンセミを捕らえようとするチョウゲンボウ
秒間20コマで連写
ミンミンセミを捕らえたチョウゲンボウ
ミンミンセミを捕らえて離陸しようとするチョウゲンボウ

続いて秒間30コマ(圧縮RAW)で撮った写真です。

アブラゼミを捕らえようとするチョウゲンボウ
秒間30コマで連写
アブラゼミを捕らえようとする直前のチョウゲンボウ

アブラゼミを捕らえた瞬間のチョウゲンボウ
アブラゼミを捕らえて離陸しようとするチョウゲンボウ

なんとなく30コマ連写の方が一連の流れでも1コマ分多い感じが伝わりますかね。

こんな感じでより良いシーンを残せる確率を少しでも増やしたい場面では、やはり連写速度は速い方がいいです。

まあ、この例での私が一番好きな瞬間は、秒間20コマで撮ったやつの2枚目なんですけどね(笑)

α1で更に改善されたら嬉しい点

最後は今後改善して欲しい個人的な要望点を述べておこうと思います。

  • AF性能、挙動については最低でもアプデ以前の水準に戻してほしい
  • MR撮影設定登録にカスタムボタンも反映されるようになってほしい
  • SONY RAW Driverを再配布してほしい
  • CFexpress Type A メモリーカードの容量増加または値下げ

こんな所です。

AF性能の再アップデートは必須だと思ってます。是非実現することを願っています。

2つめ、3つめについては下記ページでも述べていて、α1購入当初から思っていることです。
該当箇所へのリンクを貼っておきますので詳細はこちらからどうぞ。

4つ目はシンプルにメモリーカードの容量が少ないわ、値段が高いわでコスパが悪すぎる点がいつまでも解消されないことについてですね。

α1の連写性能を最大限活かすには最低でも1枚は必要になるので、やむなく1枚は購入しましたが、どうしてもコスパに納得できなくて、その後は買い足せていません。

終わりに

レビューは以上となります。
参考になりましたでしょうか?

総論として購入して非常に満足しています。

今更他の機種を使う気が全く起きていないくら何でもこなせる凄い機種で、購入を躊躇してしまう要素は本当に値段だけではないかなと思います。

その値段も、実際α1の機能を鑑みると決してコスパが悪いとは思いません。

ただ、今回このページを作成していて思ったのは、自身はα1を使うことに慣れてしまって大分感覚が麻痺してしまっていますね(笑)

ちょくちょくα1に対する文句を書いてきましたが、改めてα7Ⅲを使っていた時のことを思い出しながら文章を作っていると、如何に今までより快適になり、歩留まりが大幅に向上したかということを改めて思い知ることができました。

α1は優秀過ぎるが故に、所有者をどんどん我儘にしてしまうのだなということを身をもって感じています(笑)

そしてα1の何が凄いかというと、私の用途ではまだα1のフル性能を全然使いこなせていないというところですね。

8K動画撮や電子シャッターでのストロボ使用、メカシャッター時のストロボ同調速度1/400秒といった最先端の機能については未だ全く使えてもいないのにこれだけの満足感を得られているのです。

本当に何でもこなせる、フラッグシップの名にふさわしいカメラだと思います。

本ページ内の写真で主に使用したレンズはこちらです。

※このような高額製品を購入する際は、自然故障以外にも破損や水没等にも対応してくれるソニーストア純正のワイド保証を付けて購入するのがお勧めです。詳細はこちら。

α1関連ページ各リンク

※今までのα1に関するページのリンクをまとめて貼っておきます。
今回のレビューは極力既にアップしているページの内容とはまた違った観点で作成したつもりですので、以前の記事も併せてお読みいただければ幸いです。

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