【α1 Ver.1.30】ソフトウェアアップデート後の鳥瞳AFの試用レビュー【作例】

α1のver.1.30の瞳AF使用例機材紹介
機材紹介

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2022年6月14日、SONYのフラッグシップミラーレスカメラ"α1(ILCE-1)"に久しぶりにソフトウェアアップデート(Ver.1.30)が来ました!

アップデート後の週末に近所の野鳥相手に鳥瞳AFの感触を確かめてきましたので、それらの撮影例と感想をメインにアップデートの内容を紹介していこうと思います。

結論から言うと、試したのはまだ鳥だけですが、瞳AFの精度結構良くなってるんじゃないかなという感じです。今のところ好印象です。

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α1 Ver1.30のアップデート内容

ということでまずはα1 Ver.1.30のアップデート内容全体に触れておきます。

  1. RAW記録方式のロスレス圧縮に画像サイズMとSサイズを追加(従来のものがLサイズに)
  2. 動画の記録設定で、XAVC HS 8Kの4:2:2 10bitが選択可能に
  3. PCリモート接続中のプロキシー記録が可能に
  4. 瞳AFの精度が向上
  5. Imaging Edge Desktop (Remote)で リモート撮影ができない場合がある事象の改善
  6. カスタムホワイトバランスの動作安定性の改善
  7. 動作安定性の改善

こんな感じです。
自分に大きく影響ありそうなのは4と7かなと思います。

ただ、「瞳AFの精度が向上」って具体的な説明が無さすぎて何がどう改善されたのかわかりませんね。
なので、もしかしたら今回の検証は全部思い込みで実は変わっていない可能性もありえます(笑)

それと、詳しくは次回SEL1224GMというレンズのレビュー記事で語りますが、このレンズは瞳AFの精度がいまいちだったんですよね。

具体的には撮影時は瞳を検出している枠が出ているのに、いざ撮ってみると背景にピントが合っていることがあるといった、他のレンズではあまり経験したことがないピントの外し方を多数経験しています。上手く被写体を捕捉している時はAF速いレンズなんですけどね。

あまりにも使い心地に違和感があったので、一度修理・点検に出したくらいでしたが、実力の範囲内ということで何もなく戻されました。ただ、その際の電話のやりとりで似たような相談がたまにあるようなこともチラッと言っていたので、もしかしたら今回のアップデートでこれらに関することが改善されているのかもしれません。

ただこれについては、残念ながら同じ場面で比較検証できる被写体がいなくなってしまいましたので、試す機会がなかなかないかもしれません。

【2022/08/01追記】

Ver.1.30でのSEL1224GMの使用感について追記しましたので、該当箇所へのリンクを貼っておきます。

結論だけ申しますと、瞳AF精度がすこぶる向上し、前述の悩みはほぼ解消していると言えそうです。

ロスレス圧縮のサイズ追加については、自分の現状の撮影および保存環境だとLサイズのまま使い続ければ良いかなという感じです。
でも明らかに大量の写真を撮りそう、かつ画素数は必要ないという場面では重宝してくれそうな機能なので追加されたのはありがたいなと思ってます。

アップデート後に実際にメニュー画面を見てみました。

α1のver.1.30で搭載されたロスレス圧縮RAWのメニュー画面
ロスレス圧縮にサイズが追加
α1のver.1.30で搭載された8k動画4:2:2 10bitのメニュー画面
8K 4:2:2 10bitが追加

SONYの公式サイトによると、ロスレス圧縮のMサイズが5616 x 3744 (2100万画素)Sサイズは4320 x 2880 (1240万画素)になるようです。

また、Mサイズを選択している場合、APS-Cモードで撮影する場合も画素数が変わらず同じ2100万画素で記録され、Sサイズを選択した場合にもどちらも1240万画素で記録されるようです。

フルサイズとAPS-Cモードで画素数が揃えられるので使い勝手が良さそうな印象です。

今回のアップデート内容、個人的には不満です

新機能の追加等、良くなった点は多くあると思いますが、今回のアップデート内容を見て個人的には非常に落胆しました。

というのも、α7Ⅳで搭載された、動画撮影時の動物、瞳AF機能が実装されなかったからです。

α7Ⅳが発表されたとき、個人的にα1と比べて羨ましいなと思ったのが、上記の動画での動物瞳AFと静止画・動画の切り替えダイヤルだったんですよね。

ダイヤルは物理的なものなのでしょうがないとは思っていましたが、動画の動物瞳AFについては、まあその内アップデートでα1にも追加されるでしょって気楽に考えていましたが甘かったですね。

一番腹立たしいのはα7Cにはアップデートで大分前に動画の動物瞳AFが実装されているってことです。

α7Cに搭載できるならα1どころか中身がほとんど変わらないα7Ⅲにも搭載できるってことだと思いますからね。

フラッグシップ機にも無駄な出し惜しみをする姿勢に非常に腹が立っています。
もし搭載できない理由があるなら、それを明示してくれないと納得できないレベルです。

個人的な事としては、その間にその機能を使って愛犬を撮る機会が無くなってしまったわけですからね。

今回のアップデートはSONYに失望したというのが正直なところです。

鳥瞳AFの使用感について(作例)

とまあ、アップデートの内容に対する不満を綴ってきましたが、ここからはポジティブにアップデート後の鳥瞳AFの使用感について見ていきたいと思います。

なお、今回基本的には被写体追従感度は4(敏感寄り)に設定して撮影していたかと思います。

今回、ピント部の等倍拡大表示については、カメラの画面をキャプチャする方がわかりやすいかなと思いましたので、現像前の暗い写真が多いですがそのようにしています。

また、何故かカメラの画面をPCに表示させるとフォーカス枠の表示がされなかったので、その部分については、SONY純正ソフトのデスクトップ版Imaging Edge Viewerでフォーカス枠を表示させたものをスクショしています。

カメラの画面をキャプチャしたものとスクショしたものでは色味が大分異なっているものもあるのはそれが理由です。

α1のver.1.30の瞳AF使用例
SEL100400GM テレコン未使用 Imaging Edge Viewer スクショ

一枚目はカラスの親子で幼鳥が甘えているシーンです。

右側の親鳥の方に瞳AFが作動していますが、こんな真っ黒な被写体でも瞳を検出しています。

拡大するとこんな感じ。

α1のver.1.30の瞳AF使用例ピント部拡大
ピント部拡大(等倍以上)

暗くて非常にわかりづらいですが、ピントが胴体に持っていかれずに奥の顔の方にちゃんと合っています。

こういう場面って瞳AFの検出枠が出ていても、撮影後に確認すると手前の物にピントが引っ張られていることも偶にあった気がしますが、そういうことが減っているような印象は受けました。

α1のver.1.30の瞳AF使用例ピント部拡大
現像で若干明るくしてみる

現像で明るくしてみても問題はなさそうかと思います。

α1のver.1.30の瞳AF使用例
SEL100400GM テレコン未使用 Imaging Edge Viewer スクショ
α1のver.1.30の瞳AF使用例ピント部拡大
モニタ等倍表示

数枚カラスの写真が続きます。こちらも真っ黒な被写体でも瞳を検出しています。

カメラ側のモニタで等倍表示をすると、カラスの顔のアップになるくらい拡大されてピント部を確認できるのですがPCモニタに接続してしまうと拡大率が減少してこれくらいの大きさになってしまいます。

なので、画像は当然粗くなりますが、等倍より更に拡大した状態でもキャプチャしてみました。

α1のver.1.30の瞳AF使用例ピント部拡大
更に拡大

枠の位置的にも完璧かどうかは言い切れませんが、顔付近にピントが来ていることはわかります。

α1のver.1.30の瞳AF使用例
SEL100400GM テレコン未使用 Imaging Edge Viewer スクショ
α1のver.1.30の瞳AF使用例ピント部拡大
モニタ等倍表示

正面向きくらいになって嘴がわかりづらくなっても、瞳検出は続いていました。

α1のver.1.30の瞳AF使用例ピント部拡大
更に拡大

これはばっちり合ってると思います。

α1のver.1.30の瞳AF使用例
SEL100400GM+SEL14TC Imaging Edge Viewer スクショ
α1のver.1.30の瞳AF使用例ピント部拡大
モニタ等倍表示

続いては飛んでくるツバメの写真で、1.4倍テレコン(SEL14TC)も付けています。

動き物の際のAF枠表示が付いてこれず、全然違う所に表示されちゃう問題は相変わらずですね(笑)

※詳細はこちらで述べています。

AF枠の表示位置は被写体から外れていますが、AF自体はちゃんと被写体を追従し続けてピントを合わせてくれています。

α1のver.1.30の瞳AF使用例ピント部拡大
更に拡大

結果としてピントが合っていればまあいいんですけど、カメラ内でピント部分を拡大表示させて確認する際に、AF枠のところが拡大されちゃうので、そこから被写体の場所に移動して確認するのが結構手間なんですよね。

なのでできれば改善して欲しい点ではあります。

続いては20連写くらいした一連の中で写りが良くて残していた3カットです。

α1のver.1.30の瞳AF使用例
SEL100400GM+SEL14TC Imaging Edge Viewer スクショ
α1のver.1.30の瞳AF使用例
同左
α1のver.1.30の瞳AF使用例
同左

真ん中の写真はAF枠が大きくなっているので、瞳検出は一瞬されなくなってしまったことがわかります。

それでも被写体自体は追従し続けてくれて、特にこの3カットは精度良く撮れています。

※削除してしまった他カットも、ピントの問題だけでなく、ブレ(シャッタスピードは1/3200)、電線との被り具合が良くないといった理由でも削除していますのでピントの歩留まりは悪くなかったように記憶しています。

α1のver.1.30の瞳AF使用例ピント部拡大
モニタ等倍表示
α1のver.1.30の瞳AF使用例ピント部拡大
同左
α1のver.1.30の瞳AF使用例ピント部拡大
同左

一枚目だけ更に拡大します。
ちなみにレーティングに差をつけているとおり、3枚目が一番綺麗に写っていて、個人的に100点に近い精度だと思っていますが、それでも1枚目2枚目も90点以上はあると思います。

α1のver.1.30の瞳AF使用例ピント部拡大
1枚目を更に拡大

暗くてわかりづらいですが、目や口元などがちゃんと細かく描写されているように見えます。

こんな感じで、ピント精度80点以上(個人的にプラグイン等を使わなくても多少トリミングしても使える最低ライン)の歩留まりの差というと、アップデート前とそこまで変わらない気もしているのですが、その80点以上の写真の中で、より95点以上くらいの写真になる確率が増えたかなという感じがしています。

より高いレベルでの精度が向上したかもなという感じです。

※なお、個人的なAF精度の点数の感覚についてはこちらで語っています。

軽く抜粋すると、

旨を張って歩くキジの顔アップ
80点 α1 ver1.20以前

上が80点(拡大表示した際に)。

下が100点といった感じです。

歩き周るキジの顔アップ
100点に近い α1 ver1.20以前

1枚目の方が若干モヤっとしていたり、立体感に欠けるような感じがわかりますかね。

そんな感じの違いの差を語っています。

続いて鳩の連写シーン。

これは追従初めのまだピントが合いきっていないところからバッチリ合うまでの例です。

α1のver.1.30の瞳AF使用例
連写1枚目 SEL100400GM+SEL14TC Imaging Edge Viewer スクショ
α1のver.1.30の瞳AF使用例
連写3枚目 同左

秒間30連写のモードで撮った1枚目と3枚目の写真です。

拡大して見ていきます。

α1のver.1.30の瞳AF使用例ピント部拡大
1枚目 ピントが合いきっていない

よく見るとまだピントが甘いことがわかるかと思います。

もしわかりづらくても、3枚目を見てみると一目瞭然です。

α1のver.1.30の瞳AF使用例ピント部拡大
3枚目 ピントがしっかりと合っている

1枚目と比べてくっきりと写っているのがわかるでしょうか。

30連写の3コマ目くらいまで被写体を画面内に捉えていられれば、ピント精度の高い写真が撮れる可能性が上がりそうです。

このAF速度自体は、アップデート前と変わらない印象ですが、やはり特に枚数を重ねずに簡単に3枚目のようなバチっと写った写真が撮れたことからもAF精度が向上しているような気がします。

それにしても、空が背景だと被写体が暗くて非常にわかりづらい・・・。これでも基本的に露出補正+0.3~0.7にして撮っているんですけどね。

あまりに見づらくて申し訳ないので、現像で明るくしたものも貼っておきます。

α1のver.1.30の瞳AF使用例ピント部拡大
1枚目(現像後)
α1のver.1.30の瞳AF使用例ピント部拡大
3枚目(現像後)

これならくっきり度合いが違うことがわかりますよね。

ちなみに普段の自分でしたら、1枚目の精度のものは基本的にカメラ内で削除しちゃってPCには取り込まない感じです。

次は飛んでいるツバメの背景が田んぼで、多少ごちゃついている場面での例です。

17連写(実際にはこの後も数十枚連写続けています)中の6カットを拡大前後で並べて見せたいと思います。

レンズは同じSEL100400GM、1.4倍テレコン(SEL14TC)着用です。

α1のver.1.30の瞳AF使用例
α1のver.1.30の瞳AF使用例ピント部拡大
1連写目 まだピントが甘い
α1のver.1.30の瞳AF使用例
α1のver.1.30の瞳AF使用例ピント部拡大
3連写目 大分合ってきたが若干甘い
α1のver.1.30の瞳AF使用例
α1のver.1.30の瞳AF使用例ピント部拡大
8連写目 バッチリと合う
α1のver.1.30の瞳AF使用例
α1のver.1.30の瞳AF使用例ピント部拡大
15連写目 横方向に動き出しながらもバッチリ追従
α1のver.1.30の瞳AF使用例
α1のver.1.30の瞳AF使用例ピント部拡大
16連写目 瞳検出外れるも精度は継続
α1のver.1.30の瞳AF使用例
α1のver.1.30の瞳AF使用例ピント部拡大
17連写目 同上

こう見返すとやはりAF精度がかなり良くなっている感じがします。

体感として、飛んでいる鳥の連写において、自分がレーティングでピントに関して☆5を続けて付けるっていうことがまずあまりないんですよね。

これは抜粋したカット以外でも☆5を多く付けましたし、☆4にした写真も実質☆5とほぼ変わらないなという感じでセレクトに困った記憶があります。

次は数mという至近距離のスズメで解像感がわかりやすい例の写真です。

α1のver.1.30の瞳AF使用例
連写1枚目 SEL100400GM+SEL14TC Imaging Edge Viewer スクショ
α1のver.1.30の瞳AF使用例ピント部拡大
モニタ等倍表示

なんかノイズ多く感じますがISO1600です。また、左のスクショの方はスズメの周りの背景の色が不自然に四角く変化していますが、実際の写真データではそんなふうになっていないのでご安心ください。

更に拡大します。

α1のver.1.30の瞳AF使用例ピント部拡大
更に拡大表示

先ほども述べた通り、等倍表示から更に拡大したものをキャプチャしているので、実際の精細さみたいなものは若干損なわれていますが、それでも細かなとこまで解像し、そして瞳にしっかりピントが合っていることがわかります。

なお、同じ場面で撮った連続した前2枚の写真も同じ精度でピントが合っていました。

現地で撮っていた際も、この辺には(今回ほぼ撮った順に写真を紹介しています)瞳AFの精度が向上しているっぽいなと明確に思うようになっていました。

続いて、翌日に撮影したコチドリの例を紹介して終わりたいと思います。

この日は天候が悪くて暗かったので、テレコンを付けずに撮影しています。

α1のver.1.30の瞳AF使用例
お腹付近にAF枠が表示
α1のver.1.30の瞳AF使用例ピント部拡大
モニタ等倍表示

基本的に鳥瞳AFは嘴の形から鳥を認識しているのか、鳥が正面を向いていると上手く瞳AFが作動してくれないことが多いのですが、この例もAF枠の表示がお腹付近に表示されてしまっていて、完璧に動作したとは言えません(止まっている写真なので、飛んでいる時の枠の位置が信用できないという話とも違うと思います)。

ただ、結果として顔も被写界深度に収まっているので写真としては全く問題無く写ってくれました。

そして伝えたいのは次の写真です。

α1のver.1.30の瞳AF使用例
前の写真の2コマ後 瞳をしっかりと認識

先ほどの写真の後2枚目に撮っていた写真です(1枚後のは現場で削除してしまっていて、どんな感じだったかは覚えていません)。

先ほどより少し顔が傾いただけで、しっかりと瞳を認識してピントを合わせにいってくれていることがわかるかと思います。

この瞳の検出能力自体は、アップデート前からそこまで変わったという印象は受けず、相変わらず優秀だなというふうに感じました。

どちらかと言えば、前は瞳を検出しているくせに合ってないじゃんということが偶にあった感じなので、繰り返しになりますが、やはりVer1.30のアップデートでは実際に撮れる写真の精度が上がったなという印象が強いです。

α1のver.1.30の瞳AF使用例
斜め後ろ向きの例

最後の例です。

一番最初のカラスと同じように、斜め後ろを向いていて、肩付近にピントが合ってしまうことが多かったシーンですがどうでしょうか、拡大してみます。

α1のver.1.30の瞳AF使用例ピント部拡大
モニタ等倍表示

貼っている写真のサイズや画質だとわかりづらいかもしれませんが完璧です!

今後はより捨て写真が減ることでしょう。

終わりに

急ぎの検証はここまでとなります。
参考になりましたでしょうか。

個人的な印象をまとめると、

  • 成功(残し)か失敗(削除)かの歩留まりという観点では、以前とあまり変わらない(ピント精度80点以上の写真が撮れる確率は以前と変わらない)
  • 成功の中での大成功(95点以上)の写真の割合は以前より大幅に向上

こんな感じでした。

とりあえず残しておこうという写真ではなく、お気に入り写真が増えるということですので、非常に良いアップデートだったと現状は思えそうです。

アップデート内容を見ると、まだ機能の出し惜しみ感があってイラっともしますが、α1やっぱ最高です。

※今回の使用機材はこちらです。

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