SONYのフラッグシップミラーレスカメラ"α1"(ILCE-1)が発売されてニ週間、ほぼ毎日のように使って大活躍してくれています。
一度使ってしまうと、もう以前の機種には戻れないと感じてしまう素晴らしいカメラだと思います。
今回はこのカメラの写真部分での最大の売りである、AF(オートフォーカス)性能、連写性能、画質(主に解像感)についての感想、レビューしていきたいと思います。
AF性能と連写性能について
AF速度と30連写
こちらは冒頭の写真撮影時の別カットです。
α1を購入したら必ず撮ってみたいと思っていたシチュエーションで、愛犬が50cm程の高さのある場所へ全速力で走ってきて飛び乗るシーンです。
必ず夜に飛び乗るので室内灯のみの明るさの環境となりますし、助走から飛び乗り終わるまで2秒も無いくらいの一瞬のシーンですので、以前の機種α7Ⅲでは最初から諦めていて撮ってみようとすら思いませんでした。
そんなシーンの撮影にα1で挑戦してみたところ、一発目で大体イメージ通りの写真を撮ることができました。
使用したレンズはAF速度が非常に速い"SEL135F18GM"で、撮影設定は「F値2.2 1/1000秒 ISO1600」です。
AF-Cのトラッキング拡張スポット、動物瞳AFオンで撮影しています。
秒間30コマ連写で撮ったうちの連続6コマを一挙にお見せします。
1枚目左奥の方から走ってきていてその瞬間にAFを作動させたのですが、飛ぶ直前にベッドの死角に入ってしまったので、一度AF捕捉が途切れてしまったのだと思います。そのため1枚目はピントが追い付いていません。
驚異的なのは、2コマ目には動物瞳AFが作動してしっかりと顔にピントが合っていることです。
秒30コマ連写の2コマ目でピントが合ってくれるというのは、凄まじいAF速度だと思います。
また、焦点距離が135mmでF値を2.2とほぼ開放付近にして撮っているので、被写界深度は非常に浅くなっています。
そんなシビアな被写界深度でも、2コマ目以降は顔にピントが合っていることがわかるかと思います。
AFの追従性、正確性についても、間違いなく素晴らしいカメラだなと私はこれを撮った時に思いました。
※ただし、等倍で確認すると5コマ目の写真なんかは若干耳の方にピントがずれていました。
それでも全然使える範囲のズレかなと思います。
今まで撮れなかったシーンが撮れるようになるというだけで、必要な人にとっては高価な値段を出す価値のある物だと思います。
鳥瞳AFについて
被写体が結構遠くて画面に写る大きさが小さくても、予想以上に鳥瞳AFが作動してくれる印象です。
これくらいの大きさであれば、かなり簡単に瞳を捉えてくれます。
また特に優秀だなと思っているのは、誤作動が少ないということです。
全然関係の無いところを鳥の瞳と誤認識して、意図しないところにピントが合ってしまうということは非常に少ない印象です。
基本的に鳥瞳AFをオンにしておいて邪魔に感じたことは現状ありません。
AF追従性能について
次にAFの追従性能が凄いなと思った場面の写真を紹介します。
使用レンズは"SEL00400GM"に1.4倍テレコン"SEL14TC"を付けております。
※これ以降に紹介する写真は、全てロスレス圧縮で秒20コマ連写で撮っています。
ノスリが飛んでいる場面の写真で、飛び出しから数十枚連写していた場面の丁度中間くらいの3コマです。
途中で電柱の裏を通過していますが、一切迷うことなくノスリを捕捉し続けていることがわかるかと思います。
実はこの3コマは、完全に連続した3コマでは無く、これらの間にはノスリが完全に電柱の裏に隠れてしまったものもありました(そのコマは取り込む前に削除してしまいました)。
一度被写体を捕捉した後の追従性能も文句無しだと思います。また、鳥瞳AFも連写中のほぼ全コマ作動していたように記憶しています。
被写体を追従している写真をもう一例挙げておきます。こちらも同じレンズとテレコンを使用しております。
鳩の飛翔速度くらいだと、非常に余裕を持って追従できる印象です。
このサイズだとわかりづらいかもしれませんが、コマによっては鳩の目が半目になっていたりと、瞬きの様子まで見ることができました。
これがツバメ等の速い鳥でも通用するか、試すのが楽しみです。
リアルタイムトラッキング(RTT)が苦手な場面
α7Ⅲには搭載されていない機能で、非常に使い勝手が良いという評判をよく聞いていたリアルタイムトラッキング(RTT)ですが、実際に使ってみて、決してどんな状況でも使える万能な機能では無いなと思いました。
私も基本的にはRTTをオンにして撮影していますが、RTTが使いづらいと思った場面について、検証は少ないですが紹介しておこうと思います。
小さな被写体で背景がごちゃついている場面
何度か挑戦したのですが、モンシロチョウくらいの小さく素早い被写体では、飛んでいる最中にトラッキングすることが私はできませんでした。
AFエリアを「中央固定」にして、一瞬だけでも画面の真ん中に被写体を入れられたかなと思った場面でも、菜の花にAFが食いついてしまいました。
RTTはAFエリアを「スポットS」にして自分でポイントを指定している場合でも、カメラが被写体と判断した物体にはポイントから僅かに離れていてもAFが食いついてしまいます。そこが便利なところでもあるのですが、意図したとおりに作動してくれなかった時は、思った被写体になかなかピントが合わず、結構モヤモヤさせられます。
結局上の写真はRTTをオフにして、置きピンのような状態で撮っていました。
被写体に枝等が被っている場面
ある程度被写体の身体が出ていれば問題無いことが多いのですが、この写真のように顔付近に枝が被っているとRTTが役に立たなくなる場面がありました。
主に2パターンの誤作動がありまして、
- ちゃんと鳥をスポットで指定しても被写体近くの枝をトラッキングしてしまう
- 画面では鳥をトラッキングしているが、撮影した写真を見ると枝にピントが合っている
このように1を回避できても結局撮影した写真を見るまで成否がわからないのが結構厄介だと感じました。
何度か試した結果、場面によってはRTTをオフにして自分でAFポイントを合わせた方が歩留まりが断然良くなると現状は思っております。
画質(解像感やノイズについて)
5,000万画素という高画素の恩恵は非常にあると感じています。
間違いなく、2,400万画素のα7Ⅲでは撮れなかった世界が撮れるようになったと思っています。
これがノートリミングの写真です。焦点距離560mmでスズメがこれくらいの大きさで写っているので、結構近い距離での撮影だったと思います。
これをトリミングするとこんな感じで解像しています。
web用に圧縮もしちゃっていますが、個人的には十分解像してくれているように感じています。
これでも長辺3,000ピクセル以上残っているのが嬉しいですね。印刷も全然できます。
ノイズは、ピクセル等倍で見ると、どうしてもα7Ⅲと比較して多く感じることもあります。
ですが、この写真はLightroomでRAWを取り込み、ノイズ軽減は全く適用せずに現像していますが、これくらいのトリミングであればノイズは全然わからないかなと思っています。
要は、高画素で拡大ができてしまうからこそ、拡大して見るとノイズが目に付きやすいだけで、鑑賞サイズを統一すればノイズ量はそんなに変わらない(むしろ良い可能性も有り)のかなと解釈しています。
トータルで判断して、現状はα7Ⅲから特にISO感度の設定に対する意識を全く変えることなく撮影しています。
α1を購入する時に唯一心配だった点が高感度耐性でしたが、自分は及第点はあると思っており満足しています。
解像感の例として小型の昆虫も載せておきます。
トリミングしていない状態が上の写真です。
トリミングするとこんな感じ。
かなり精細にミツバチを描写してくれているのではないかと思います。
マクロレンズで接写して更にトリミングするのが楽しみでしょうがないです。いずれ撮れたら作例紹介したいなと思っています。
これもトリミング後の写真です。
顔や羽の細かい模様も良く見えていると思います。
こんな感じで、画質面についてもかなり満足度が高いです。確実に今まで見えなかった部分まで、高画素機によって写るようになったと実感しています。
終わりに
以上となります。
前回記事で記載した不具合や気になる点もありましたが、そんなことが気にならないくらい非常に優秀で気に入っているということが伝われば幸いです。
更に設定等を詰めていけば、より精度高く撮れるようになる気もしていますので、今後も使い込んでいき、気付いたことがあれば共有していきたいと思います。
値段で購入を躊躇される方がほとんどかと思いますが、値段の価値のある性能だと思いますし、購入してしまえば必ず満足できるカメラだと思いますよ!他のカメラのことが一切気にならなくなります(笑)
※2022年6月現在、最新のバージョン1.30における鳥瞳AFの使用感をレビューしました。
※購入後数か月使用後のレビューまとめページはこちら。
※秒間30連写した写真をGIF化してみました!
※再生画面のカスタム設定をこちらで紹介しています。
※前回記事はこちら。
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