スローシャッター(長時間露光)についての前回の記事
こちらが説明だけで非常に長くなってしまいましたので、作例編と分割しました。
前回の説明を踏まえて、今回は実際の作例をご紹介しつつ、撮影時の設定や使用機材の解説をしていきたいと思います。
シャッタースピードの目安になれば幸いです。
作例
とにかく海面をなだらかに、かつ雲の動きを出してみたくて132秒もの長時間露光をした写真です。
風がそんなに強くなかった記憶はありますが、前回記事でもご紹介した軽さ重視の三脚でも、軽いレンズ(作例のは約93g)との組み合わせではブレずに撮影できました。
※上記三脚に付属していた雲台は使い物にならなかったので、こちらを使っていました。
雲の動き等を表現する時は対比として、動かない物(木や岩等)を配置したほうが良さそうですね。
空と海だけで撮ってしますと平面的に写りすぎてしまう印象がありました。
使用したフィルターの記憶が曖昧です。
確かND100かND16どちらかを使用していたと思います。シャッタースピード的にND100かなと思っております。
これはPLフィルターも重ねて付けていたと思いますが、PLフィルターでも若干暗く(ND2~ND4くらい、物によります)なりますので、その分シャッタースピードが長くなります。
先ほどより重いレンズ(約281g)ですが、この組み合わせでも同じ三脚、雲台で問題無く使用できました。
車のテールランプの光跡です。信号が変わって車が多く撮るタイミングを見計らってシャッターボタンを押しています。
これも使用フィルターの記憶が曖昧です・・・。適当ですみません。
長時間露光の写真は、カメラの再生モードで見返すまでどんな写真が撮れているが想像ができず、ドキドキできて楽しいです。
これは使用フィルター間違いないです(笑)
川や滝の水の流れを出すには1秒~4秒程度のシャッタースピードで良いと思います。
ちなみに普通に撮るとこんな感じです。
シャッタースピード1/1000秒です。
迫力がある滝等の場合は、水飛沫を止めて写す為に高速シャッターによる表現というのも良いと思います(1/1000よりもっと速い方が良いと思います。これは中途半端に感じます。)。
ですが、このような小さな川ではスローシャッターで流れを出した方が良いかなと個人的には思います。
続いても、シャッタースピードによる水の流れの違いをお見せしたいと思います。
1枚目から順に、1/100秒、1/20秒、1秒で撮っています。柱に寄っかかって手ブレしないよう頑張って撮りました。
雨の雫の落ち方が全然変わってくるのがわかるかと思います。
手ブレしないよう頑張ったのですが、個人的にはシャッタースピードがあまり長すぎない方が好みだなと思っちゃいました(笑)
カメラの小さな画面で写真を見返す時と、PC等に取り込んだ後ではまた印象も違って見えますので、時間に余裕があれば、現場で色々な設定で撮っておくことが後悔も少なくいいですね。
続いて動きを出す表現として、流し撮りによる作例です。
シャッタースピードを遅めにして、動く被写体にレンズを向け続けてシャッターを切ります(基本連写モードを使うと思います)。
そうすると被写体よりも背景が大きくブレた写真になり躍動感が出ます。
これは池袋のイケバスという電気バスですが、実際はびっくりするくらい低速走行でした(笑)
なのでシャッタースピードも1/10秒とかなり遅めにしています。
次は同じような疾走感の表現として電車内からの撮影例をご紹介します。
これ、電車の先頭から撮っているように見えるかもしれませんが、実際は最後尾側で撮っています。つまり立ち去っている光景ですね。
これも走行速度が非常に遅かったので、シャッタースピード1/10秒と遅くして撮っています。
手持ちで立ちながら撮っているので、電車の揺れなどもあり、進行方向へのブレだけでなく余分な上下のブレなどまで出てしまう写真を量産しました。
疾走感を出せたかなと思った写真は数十枚撮ったうちのたった数枚だけで、苦労したことを記憶しています。
花火写真三連発です。
花火はND16を付けると、1分前後のシャッタースピードで撮ることができました。
二枚目のだけシャッタスピード25秒と他に比べて短いですが、それでもちゃんと写ってはいますね(RAW現像前提ですが)。
花火が複数上がって、なんとなくキリの良い所でシャッターを閉じるという感じで、非常に曖昧な感覚で撮り続けていたのですが、極端な失敗写真はそこまで無かったです。
ただし、フィナーレあたりの花火がどんどん激しく打ちあがって来た時に、同じような感覚で撮っていたら、白飛び寸前の写真になったような記憶があります。
花火の色や明るさによって、なんとなく微調整するしかないのかなと思いました。
次は星空です。これを撮った頃から三脚と雲台を下の物にグレードアップさせました。
星空は日周運動で少しずつ動いて見えますので、あまり長いシャッタースピードで撮ると、星が点ではなく伸びて写ってしまいます。
よく、500(厳しく見る場合は400)を焦点距離で割った秒数までは、星を点で写すことができると言われております。
新しい三脚ですが、このレンズはまだまだ軽い方(約420g)ですので、当然ブレ等問題無く使用できております。
次の作例で、更に重いレンズでも問題なく使用できていることをご紹介したいと思います。
はじめて雷撮影に挑戦した時の写真です。
雷はシャッターを開けている間に落ちてくれれば写ってくれる、それだけです。
一回毎のシャッタースピードを長くして、一枚に写る可能性を広げてもいいですし、今回のように10秒くらいに設定して細かくシャッターを切っていくという撮り方でもいいと思います。
この写真ではSEL135F18GMという約950gの重さのレンズを使用しています。
カメラ本体より重いレンズで、そのまま三脚に取り付けると重心バランスが悪いので、ブレやすくなってしまいます。
なので、下記のロングプレートを使うことによってバランスを取り安定感を出しています。
そのおかげで、この写真の撮影時は悪天候でかなりの強風が吹いていましたが、写真下部の街並みを拡大して見てもブレずに撮ることができています。
再び雷の写真です。
こちらは更に重いSEL100400GM(約1,395g)のレンズを使用していますが、こちらも問題無く撮ることができました。
この日は風は全然無く、非常に蒸し暑い空気で雷もかなり暖色寄りで黄色く写ったのが印象的でした。
そして、この撮影時は全く同じ場所からの撮影で3枚落雷の瞬間を捉えることができましたので、RAW現像後に比較明合成というものをしてみました。
それがこちら。
有料ソフトは持っていなかったので、RAW現像をして一枚一枚をjpegにしてから、jpegを比較明合成できるフリーソフトで合成しました。
比較明合成の仕組みをきちんと理解していないので、間違った解釈かもしれませんが、綺麗に合成できたくらいブレずに撮ることができていたということなのですかね。
最後はシャッタースピードによる雲の流れ方の違いをお見せしようと思います。
非常に雲の流れが速い日で、30秒露光するとこんな感じです。
これを2分程のシャッタースピードにするとこうなります。
雲の形がほとんど無くなりますね。
本当は一枚目の写真の上部の赤焼けが目についたので、オレンジと灰色と赤色の色合いを、雲を流した状況で表現したかったのですが、ND100を付けて準備している間に赤い部分が無くなってしまいました(笑)
なので、雲が流れすぎてただ何も無い感じの写真になってしまいました。ただ雲の流れ方の参考にはなるかなと思い一応ご紹介させていただきました。
終わりに
作例は以上となります。いかがでしたでしょうか。
スローシャッターについては私もまだまだトライ&エラーを繰り返していますし、失敗写真を量産していますが、それでも偶に自分が頭の中でイメージしていたものに近い写真が撮れると、普通の写真を撮るよりも更に嬉しくテンションが上がります。
是非色々試行錯誤されながら撮影してみてください。
※作例で使用した写真は全てこのカメラで撮りました。
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