SONYのフルサイズミラーレス一眼カメラα7Ⅲ及びα1と、SONYのEマウントレンズラインナップで最上級グレードであるGM(G Master)レンズであるSEL24F14GM(FE 24mm F1.4 GM)の組み合わせによる作例と感想等レビューしていきたいと思います。
実は私の中でのこのレンズに対する評価は、組み合わせるカメラボディによって一度変わっています。
当初"α7Ⅲ"との組み合わせで使っていた時は、「優等生レンズ」だとは思っていましたが(SEL135F18GM等と比較してしまうと)特に大きな感動は無いレンズというのが正直な印象でした。
それが、"α1"と組み合わせて使うことにより、更なる高画素・高速AF・高速連写が求められる状況でも優等生ぶりが全く変わることのない「超優等生レンズ」だったんだなと思うようになりました。
そんな使用感について、作例と共に述べていきたいと思います。
レンズの外観・スペック・特徴など
外観
まずはレンズの外観写真等から。

開放F値1.4という大口径レンズながら、重さ約"445g"と非常に小型軽量なレンズです。
2021年になってからは、SEL35F14GMやSEL14F18GMといった同じようなコンセプトの小型軽量なGM単焦点レンズが発売されていますが、このレンズの発売当時(2018年)は、性能に対して非常に衝撃的な軽さだったのではないかと思います。
最短撮影距離は24cm(最大撮影倍率0.17)、フィルター径67mmと無難で使い易い印象です。
フードを付けるとこんな感じです。


フードは小型なので、装着時もあまり大きく感じません。
またSONYの高級な単焦点レンズに大体付いている 絞りリング・絞りリングのクリック音スイッチ・AFMF切替スイッチ・カスタムボタンが搭載されています。
見た目の印象はGMレンズ共通のデザインなので、私が所有しているSEL135F18GMと変わりません。
ただ、軽量化とトレードオフかと思うのでしょうがないのかなとは思いますが、実際に持った感じは見た目以上に軽く感じるせいもあり、若干プラスチッキーでSEL135F18GMよりは安っぽく感じました(SEL135F18GMは鏡筒がマグネシウム合金で作られていて、もう少し剛性感を感じます)。
まあ最近のGM単焦点レンズは全てこのレンズと同じような質感に感じていますので、逆にSEL135F18GMの方にお得感を感じています。
個人的にはこのレンズの質感だと、SEL50F14Z等の金属製のレンズの方が所有する満足感はあるかなと思っています(寒冷地でのレンズの冷え方等を考えると、利便性についてはGMレンズの方が良さそうなので一概に良いとは言えませんが)。
外観に関する感想は以上です。
広角レンズとは思えないボケ量
このレンズの最大の特徴は24mmという広角レンズながら開放F値1.4による大きなボケ量だと思っています。

広角ながら強烈にボケるという、このレンズでしか撮れない写真があると思うので、そこに価値を見出すかどうかが一つの購入判断の基準になるかなと思います。
逆に風景写真等がメインで絞って撮ることが多いという方には、開放F値は暗いですが、より低価格で小型な焦点距離24mmのレンズはいくらでも選択肢があると思うので、予算に制限がある方等にむやみやたらにお勧めできるレンズではないです。
ですが、冒頭にも述べたとおり超優等生レンズだと思っていますので、どんな場面でも幅広く使えて、買って後悔はしないレンズとは言えると思います。
GMレンズの中ではだいぶ安い方ですしね(笑)
AF(オートフォーカス)性能の印象
AF(オートフォーカス性能)は速さ、正確性共に非常に優秀な方だと思います。
ただし、SEL135F18GMほどではありません。
私はα1を購入してから、室内を全力疾走してジャンプする愛犬を撮るようになりました(α7Ⅲではどうせ無理だろうと諦めていました)。

※背景が乱雑なのでモノクロにしています。
こんな感じの写真で、被写界深度の浅いF値開放でも被写体をトラッキング(追尾)して撮ることができます。
このAF捕捉の成功率が、このレンズだと体感で大体60~70%くらいかなという印象です(135GMは90%以上)。
被写体を捕捉してから完璧にピントが合うまでに数コマ(秒間30コマ連写の内)要することが多く、遅い時にはジャンプし終えたころにようやく合う時もありました。
ただ、一度ピントが合うとその後は最後のコマまで追従してくれている印象です。
別の日に違う角度から撮った写真がこちら。

私が所有しているSEL50F14ZやBatis2.8/18では、明らかにピント合焦の成功率が落ちました(そもそも秒30連写もできません)ので、このレンズは動く物に対してもかなり優秀なAF性能を持ち、α1の性能を十分に引き出せるレンズだと思いました。
※同じ場面でのSEL135F18GMによる写真はこちらの記事で紹介しています。
α7Ⅲとの組み合わせだと色がおかしい(青被り、緑被り)?
もう一点、私が当初このレンズに抱いていた印象は、異常なくらい青っぽく(または緑っぽく)色が被るというものでした。
ただし、この印象はα1との組み合わせではなくなっています(これもより自分のレンズに対する評価が高まった要因です)。
※なので、結論としてはα7Ⅲのホワイトバランスがおかしかったのだなと思ってます。
具体例を挙げておこうと思います。
なお、特に日陰で撮影する際に非常に青っぽく写る印象がありました。

上の写真は自分でRAW現像時にかなりホワイトバランス等を調整した後のものです。
この項の本筋とは関係ありませんが、絞り開放で被写体にここまで近づいて撮るとボッケボケになりますね。
これを前述の前提条件で現像する前の状態をお見せしたいと思います。

これはかなり顕著に特徴が表れていた例ではありますが、気味悪いくらいかなり青く、また緑っぽく色がなっているのがわかるかと思います。
自分は普段Jpegでは撮らずに全てRAWで撮っているので、まあ後で現像時に調整すればいいかなくらいに思っていましたが、RAW現像をしない方にとっては、とてもじゃないけど撮影時のホワイトバランスがオートのまま撮れたものではないんじゃないかと思いました。
もう一例貼っておきます。

これが現像前だとこうなっています。

やはり青だけでなく緑にも転んでいると感じます。
なのでRAW現像時は"色温度"と"色かぶり補正"のスライダーをどちらも右にスライドさせることがほとんどでした。
こんな感じで、私は当初変な色になりやすいレンズというネガティブな印象を持っていたのですが、前述のとおりα1に装着してホワイトバランスオートで撮ったところ、ビックリするくらい目で見たままの自然な色味で撮れるようになりましたので、α7Ⅲのホワイトバランスとこのレンズの相性の問題だったのかなと評価を改めました。
ただ、この自分の想定外の色味になってくれることが、自分の想像した以上の独特の雰囲気の写真となって助けになってくれたこともあったと思いますので、若干面白みがなくなったなと思ってしまうこともあります(笑)
5000万画素でも全く変化の無い解像力(α1との組み合わせ)
これもα1に装着して使うようになって評価が高まったポイントです。
元々α7Ⅲで使っていた時から、解像感が高いレンズと思ってはいましたが、特別感動する程の描写ではないなと思っていました(これも135GMのせいかと思います)。
それが、5000万画素あるα1に付けて使った場合に、写真を拡大しても全く粗が見えずに細部まで写してくれていることを実感し、改めて解像性能の高いレンズだったのだなと思い直しました。
上手く言えずなんとなくの感覚なのですが、α7Ⅲを使っていた時はより解像力が上だと思っていたSEL50F14Z等は、α1で撮った写真データを拡大すると、解像はしていますが何か限界が近そうだなと感じる時もあるのですが、SEL24F14GMからは余裕を持って解像しているような印象を受けるんですよね。
まあ、気のせいの可能性も大いにあります(笑)
こちらも写真を貼っておきます。

こちらの写真を長辺8640ピクセルから3000ピクセル程度まで切り出してみます。

拡大して見た場合でも、毛の線1本1本が細かく描写されている印象です。
もう一例貼ります。

一段絞っている写真です。
こちらを長辺8640pxから約2700pxにトリミングしたのがこちらです。

α1にしてから本当に良いレンズだったんだなと気づかされました。
作例
最後に本レンズで撮ったその他の写真を紹介していきたいと思います。
※ちなみにSEL24F14GMをダイビングにも使用しています。水中写真の作例についてはこちらで紹介していますので、よろしければご覧ください。

24mmの良い所は、散歩してリードを持ちながら犬の全身を容易に写せる使い易い画角な所ですね。
また、レンズが軽いので、左手はリードを持って右手だけでカメラを保持して撮ることもしやすいです。

被写体と共に周囲の情景も写せる画角というのも魅力ですね。
ただし余計な物が写り込む可能性も高まるので、背景選びにはかなり気を使うようになります。
標準~望遠域のレンズで狭い範囲だけを写す撮り方の方が、近所の散歩ではどの場面でも使い易くて楽だと思うことが正直多いですが、やはり広角レンズを使って情景を活かすことも時には大事だなと思っています。
ちなみに、この落ち葉は人為的に降らせています。やらせです(笑)

個人的に重宝しているのが、犬と併走しながら撮る場面です。
若干地面が流れるような、疾走感が出るシャッタースピードを狙って設定しています。
リードを持って走りながら犬の前方でカメラをキープして撮るのにちょうどいい画角なんですよね。
50mm等では顔のアップばかりになってしまう距離感でした。
また、AF性能の高さがα7Ⅲで使用した場合においても結構助けてくれていたと思います。
更にα1を使えば絞り開放で撮ったとしても高確率でピント合うと思います。

このような薄明の時間帯では、前述の色被りが良い方向に転ぶこともある気がします。
夜景を撮るのが楽しいレンズかもしれませんね。

ということで夜景の写真です。
これは横着して手持ちで撮ったので絞り開放です。
横着ができてしまう明るさのレンズということです(笑)

偶然だったのですが、茶色一色だなとふと気づき思わず撮った場面です。
室内での撮影においても開放F値1.4が役立ちます。
テーブル下の暗い部分でもISOをあまり上げずに撮ることができました。
また、広角レンズはだだっ広い所を撮るのではなく、狭いところに潜り込んで撮る方が面白いのかなと最近思うようになってきました。
広角レンズには苦手意識があるので、今後それを意識して色々撮ってみようかと思っています。

同じ場所・時間で撮った別の写真です。
狭い場所でも奥行感が出てくれます。

日暮れ直前に撮った5cm程度のハラビロカマキリです。
確かほぼ最短撮影距離で撮り、更にトリミングもした写真だったと思います。
小さい被写体を大きく写すようなことはできません(最大撮影倍率0.17)。

石垣島の田んぼで虹を撮った写真です。
確かPLフィルターを付けて、虹を強調させて撮ったように記憶しています。
フィルター径67mmのレンズが結構多いので、比較的フィルターの使い回しがしやすいのも良い点ですね。

今度は北海道の宿内での写真です。これも手持ちで撮っています。
ガラスの写り込みが複雑で面白く、窓枠がシンメトリーとなるよう意識して撮りました。
広角レンズですが変な歪み等は無く、線が真っ直ぐで気持ち良く写っているのではと思います。

最後の写真です。
頭上を覆う桜を見上げて撮りました。
これはα1で撮っていますが、データを拡大してみると花の一つ一つがしっかりと描写されていることを確認できました。
写真左上部分を拡大した写真がこちら。

大体長辺8640pxから3700px程度に切り出しています。
良いレンズだと思います。
終わりに
作例は以上となります。いかがでしたでしょうか。
個人的な印象を端的に述べると、画質・AF性能・開放F値・小型・軽量・フィルター径等々、全ての点が10点満点中8~8.5点くらいと非常に欠点が少なくバランスの良いレンズという印象でしょうか。
ただし、逆に言うと特段抜きん出ている点というのが感じづらく、人によっては若干面白みに欠けると感じてしまうかもしれないとう印象も正直持っています。
なので、途中でも述べましたが、まずは広角ながら強烈にボケるという、このレンズでしか撮れない写真があると思いますので、そこに価値を見出すかどうかが一つの購入判断の基準になるかなと思います。
また、トータルの性能バランスが非常に良いので、とりあえず買って後悔しない良い広角レンズが欲しいという方にも、自信をもってお勧めできるかなと思います。
GMレンズの中ではコスパが良いと言えるでしょう(笑)
※SEL24F14GMで撮った水中写真の作例をこちらで紹介しています。よろしければご覧ください。
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