野鳥撮影用にカメラ用の照準器(ドットサイト)"Swift Ⅱ(スイフト2)"を購入しました。SONYのα7ⅢとSEL100400GMとの組み合わせでの使い勝手のレビューと作例をご紹介したいと思います。
照準器を導入した理由
最近購入した望遠ズームレンズ"SEL100400GM"での作例記事でも述べたのですが、飛行中のツバメ相手に全然写真を撮れなかったことが理由です。
※下記リンクがその記事です。そちらでは照準器を使用していない作例を紹介しています。

私の周りを数羽が暫く飛び回っているという、非常に恵まれた状況だったにも関わらず、飛ぶスピードと予測不可能な空中の動きが速すぎて、400mmの望遠端では一度もフレームに入れてシャッターを切ることができませんでした。
この時はこのままでは一枚も撮れないと判断し、早々にズームを広角側に切り替えて何とか上の写真のように写すことだけはできました。
これがとても悔しかったのです。
以前、望遠ズームレンズを購入前に一度レンタルをして、北海道の羅臼に行きワシ達の飛翔写真を沢山撮ったことがあります。

その時も、400mmという狭い画角に飛んでいるワシを入れたまま追従するということにかなり苦労はしましたが、被写体が大きいのと飛行速度があまり速くなかったことで、まあやれないことはないなと自惚れていました。
一応ワシ以外にも飛んでいるカラスやカモメ、木々を動き回るシマエナガ等も撮れてはいましたしね。
しかし小型の野鳥(特にツバメ)はレベルが違いました。
また、撮影旅行の時のようにずっと「撮るぞ」と身構えている時と、普段の散歩ついでに不意に飛んでいる鳥を撮る、というときでは自分自身の集中力も全然違ってくるのだなということも痛感しました。
日常撮りの集中力では、どれだけ練習しようとも飛行中の鳥を安定してフレーミングするのは私には不可能だと判断し、道具に頼ることにしました。
ドットサイトの赤い光はレンズに照射しているものらしく、実際に鳥に照射して迷惑をかけるものではないということを知ったのも大きな後押しとなりました。
照準器選び
まず、カメラ用の照準器は余り選択肢がありません。
私も最近存在を知ったくらいでしたし、カメラ用としてはかなりマイナーな器具なのではないでしょうか。
人によってはエアガンとか実銃用の物をカメラに取り付けられるようにパーツを換えて運用したりしているようです。
最初からカメラ用として販売されている物の中で、有名なメーカーではニコンとオリンパスから発売されているようですが、私はホビーズワールドというバードウォッチング・撮影専門店のオリジナル商品に目を付けました。
理由は、
- HPを見る限り、専門店による商品へのこだわりが強そうに感じた
- 在庫処分品で安くなっている機種があった
正直2つめの理由がかなり大きかったですね。
かなり高額な商品だったのですが、40%以上安くなっていたので半ば勢いで買ってしまいました。
確か先ほどのツバメを撮った当日か翌日にはポチっていました(笑)
ということで私が選んだ商品をご紹介していきます。
Swift Ⅱ


こちらです。Swift Ⅱ(スイフト2)という商品です。
日本製で3年保証も謳っております。
ボタン電池が一般にあまり流通していない品番(CR1/3N)らしいのですが、その代わりに本体の小型化と電池の高寿命化を実現しているっぽいです。
そして個人的に一番響いたポイントがこちら

レンズ部を折りたためます。カメラ用では折りたためない機種が一般的みたいです。
私はPeakDesignの”Capture”という器具を使って、鞄やズボンのベルト部にカメラをレンズが下向きになる状態で取り付けて持ち運ぶことが多いです。
そのような持ち運び方ですと、照準器をカメラ上部のホットシューに取り付ける場合、身体から一番遠い位置に照準器が位置することになり、一番ぶつけやすい場所になってしまいます。
なのでレンズを折りたたんで保護しながら持ち運べることは非常にありがたいと思いました。


カメラに取り付けているのを見ると、折りたためないと結構ぶつけそうな気がしませんかね?
セッティング
光軸の調整
カメラに取付けて照準器を使うには光軸の調整が必要です。
カメラの位置と照準器の位置がズレている分を修正する必要がありますからね。

こちらの写真のRの部分を六角レンチで回すと、光を左右に移動できます。
撮っていなくて申し訳ございませんが、本体上部にも同じネジ穴が有り、そちらで光の上下の調整ができます。
機種によっては六角でなくて手でダイヤルを回すだけで調整できる機種もあるみたいです。それ便利ですよね。
付属の六角レンチが1.5mm幅で非常に小さい物でしたので、鞄とかに入れてると無くしそうです。
なので、私は無くさないように持ち運び用の六角レンチセット(十徳ナイフみたいな奴)を買いました。

照準器をカメラに取付け、三脚にカメラを固定し、ズームレンズを一番使うであろう400mmに設定します。
カメラから10mや20mなど、一番使いそうな距離感に有る目印に照準器の光とカメラが写す中心が一致するように六角レンチで調整していきます。
私の場合はカメラのAFエリアをフレキシブルスポットS等の一番小さい枠に設定して、できるだけ細かく一致するようにしていました。
最初は大雑把に合わせていたのですが、わずかなズレでも400mmの画角内では結構ズレる印象でしたので、結局やり直すはめになりました。
セッティングの注意点
何となくおわかりいただけるかと思いますが、照準器の光とカメラが写す中心が完全に一致するのは、先ほど調整した目印と同じ距離の時だけです。
カメラの上に照準器を取り付けている場合、調整した時の距離から前後すると少しずつ光と写す範囲が上下にズレていきます。
なので、撮影時に明確に被写体との距離感がわかっている場合には、その距離で調整することをお勧めします。
ただ、私は毎回調整するのは面倒くさいと思う派です。
私の少ない経験上にはなってしまいますが、10~15mの距離くらいで調整しておけば、400mmの場合は割と近い物から遠目の物まで、フレーム外にまで被写体がズレてしまう、というようなことは無く特に不自由を感じたことは未だありません。
そして、本当に注意点として伝えたいのはここからです。
私の場合は、普段は同じ焦点距離(400mm)、同じ取り付け位置、大体同じ距離感で撮るので、一度ちゃんと調整しておけば、暫くは再調整する必要も無く使っていけるだろうと思っていました。
なので、非常に紛失しやすそうな付属の小型の六角レンチは気合の入った撮影時以外は持ち歩かずに行こうと思ってました。
しかし、一度照準器を付けて撮影し、一旦取り外して翌日また付けて撮影したら、明らかに光軸がズレていることに気づきました。
撮影は一瞬のことなのでなかなか判断が付きづらかったのですが、明らかに光と被写体が重なって真ん中で撮れたと思った写真でも、カメラを見返すと大体左にズレていたのです。
家に帰って三脚に再度取り付けて確認してみると、やはり照準器の光とカメラの写す位置がズレていました。
この時は、照準器は光軸が思った以上にズレやすい物で、使用時には毎回調整が必要となり、必ず六角レンチを持ち歩かなければいけない物なのかな、と勝手に解釈してしまいました。
そして前述のとおり、持ち運び用の六角レンチも購入したのですが、結局それを使うことはほとんどありませんでした。
結局何が原因だったかと言うと、ホットシューへの取付けの場合は、完璧には固定されず若干左右に動く幅があるということでした。

様々なメーカーのカメラに取り付けられるよう、元々若干の遊びを設けて作っているようです。
なので、ネジをがっちり締めて固定しても、力を加えると照準器の向きがほんの少し左右に動きます。
動くのは数ミリですが、これが400mmの画角ですとファインダーの端から端くらいまでズレる可能性があることもわかりました。
対処法としては、左右どちらか決めた方に目一杯動かした状態で調整し、再度取り付ける時も同様に取り付けて運用していく方法が有効です。
私はなんとなく左側に固定するようにしています。
これを意識するようになってからはかなり安定するようになり、使用後は毎回取り外すかたちで数回使用しましたが、六角を使って再調整する必要がある時は無かったです。
もし毎回光軸が大きくずれて悩んでいるという方は、是非こちらを意識して試してみてください。
カメラのAF設定
私が使用しているα7ⅢでのAF設定です。
基本的には"AF-C"で、AFエリアは"中央"にしています。
AFエリアに関してはまだ試行錯誤中ですが、"中央"にしていても意外と被写体が画面上下左右3分割の場所くらいに位置してしまっている場合でも、ピントが合っていることがそこそこあるので、一旦これでいいかなと思ってもいます。
"ゾーン"とか"フレキシブルスポット"とかを上手く使えればもっと撮れ高上がるのかもしれません。
α9系でしたら"トラッキング"も使ってみたいです。
なお、シャッター半押しでのAFはオフにし、俗に言う"親指AF"で運用しています。
設定したボタン(私の場合は"AF-ON"または"AEL"のどちらかと"レンズ側のボタン")を押している間AFが作動するようにしています。
ちなみに野鳥撮影時の連写設定は当然最高速(10枚/秒)にしています。
これはSDカードをUHS-Ⅱの物(SONYのTOUGHシリーズ)に変えたことで格段に快適になりました。
オオワシを撮りに行っていたときはUHS-ⅠのSDカードだったので、書き込み待ちで連写が途切れることが何度もありましたが、Ⅱにしたら自分のペースで連写している限りは一度も途切れたことがありません。
SDカードの選択も非常に重要だと思いました。非常に高価ですけどね・・・。
作例
やっと実践編です。照準器を使って実際に撮れた写真を紹介していきます。
写真は全てα7ⅢとSEL100400GMの組み合わせで、手持ちで撮影しています。

近所の水辺にコアジサシが数羽来ることがわかりましたので、数日間撮ってみました。
水辺の上空を魚を探しながらグルグル飛び回り、魚を見つけたら一瞬ホバリングして水面に飛び込む、ということを繰り返してくれますので、格好の練習相手になってくれました。

ホバリング中はシャッターチャンスに余裕があります(といっても2、3秒ですが)。
魚に夢中なので、数m先にまでこちらを気にせず飛んできてくれることがあります。
この写真はトリミングしていますが、トリミング無しでこれより大きく写せている写真もたくさん撮れています。
ですが、ここでは羽の透け具合や目への光の当たり方が気に入っているこちらの写真をチョイスしました。
ホバリング中だけは照準器無しでも撮れるチャンスはありそうかなという印象です。

魚を狙って急降下中の写真です。
ダイブするタイミングは鳥を見ていればわかりやすいですが、ダイブの動きをずっと画角に収め続けるのは照準器が無いとかなり難しいと思います。
もし照準器無しの場合は、置きピンでフレーミングのみに集中した方が成功率高そうですかね。




ダイビング4連発です。1、3枚目はノートリミングです。
このような写真がある程度安定して撮れるようになった時点で、照準器を導入して良かったなと思いました。
もう照準器無しでは撮りに行く気がおきません(笑)

蝶を撮る時も照準器が大活躍してくれました。
予測不可能な動きで忙しなく飛び回るので、個人的には野鳥よりも難しく感じることもありますが、照準器のおかげで絞り開放でも撮ることができました。

カメラを構えてない状態でも、鳥が飛んでくるのが見えてから狙いを定めても十分間に合って撮ることができます。
個人的にはこのサッと構えてサッと撮れるようになる、というのが照準器導入の一番の恩恵だと感じてます。
ふと目に付いた場面を逃しづらくなりますし、集中力のオンオフを気軽に切り替えられるので、疲労の軽減にも繋がります。


カワウのような大きな鳥は照準器無しでも比較的撮りやすいとは思います。
ただその場合は、カワウにずっと狙いを定めて飛びそうな予備動作などを感じ取るように集中していないとなかなか簡単に撮ることはできないのではないでしょうか。
この写真はカワウが飛んでくるのを見てから構えて撮りました。
数十コマ分連写して撮っていますが、全て画面から外れてしまうことなく撮り切ることができました。

これも急遽遠くから飛んできたものを撮った写真です。
こちらに向かって飛んでくる正面の顔から、そのままUターンして去って行くところまで、およそ数十枚シャッターを切りましたが、全てフレームアウトせずに追従できました。


最後は照準器導入のきっかけになったツバメです。
・・・ツバメに関してはまだ満足できる写真が撮れていません(笑)
ですが、400mmでも追うことができていますので、また私の周りを飛んでくれるような恵まれた状況があれば、確実に撮れるだろうなという手応えがあります。
撮れ高の印象
ぶっちゃけ失敗写真は量産されます。
ピントが合っているか確認せず、照準器だけを見てカメラのAFを信じて連写しますので、連写した全コマが全くピントが合っていなかったということも当たり前にあります。
初めて照準器を使用したときは光軸調整が甘く、被写体が左上にズレて写ることが多かったのですが、その状態で撮影して体感20%くらいの成功率という感じでした。
その後しっかり光軸調整した後で、大体30%くらいの成功率かなあと感じております。
被写体を見つけて、照準器の光を合わせた瞬間に連写をすると、コアジサシの場合で、3コマ目からピントが合っているということが多かったです。ツバメだと5コマ目くらいからという印象でした。
パシャパシャっと2連写ずつくらいの区切りでこまめに撮っていると、使えない写真を量産することが多かったです。
これは、カメラ本体やレンズの性能に起因するものだと思いますので、同じα7Ⅲをお使いの方は参考にしてみてください。もし違う機種をお使いの方は体感成功率を教えていただけると参考になり嬉しいです。
失敗写真は量産していますが、私は体感30%というのは物凄く高い確率だと思っています。
というのも、照準器無しの時の成功率は数%にも満たないと思っているからです。またそもそもシャッターが切れなかったという場面も照準器無しでは多々あります。
もう私にとっては照準器は必須アイテムです。
まとめ
最後に私が感じたメリットデメリットをまとめていきたいと思います。
照準器のメリット
- 素早い動きの物もフレームアウトせずにカメラを向け続けられる
- 不意に動いてくる物にもサッと構えてサッと撮りやすくなる
- 自分自身の集中のオンオフがしやすくなり、長時間撮影しても疲れにくい
- 止まっている物を撮る時も、先に照準器を合わせてからファインダーを覗くと素早くフレーミングできる
こんなところでしょうか。
一番目はそれ目的で購入しているので当たり前ですが、二番目、三番目の恩恵が予想以上に大きいなと感じております。
個人的な意見ですが、例えばオオワシのような自分が大好きかつ魅力的な被写体であれば、照準器無しでも一挙手一投足に目を光らせ、決定的な瞬間を逃さないよう集中し続けることもできると思います。
ですが、カワウやカラス等に対してずっと集中し続けることは、私にはできません。
被写体に失礼ですが、ついでに撮れるなら撮れたらいいな、というくらいの思いの被写体には抜群の効果を発揮すると思います。
照準器のおかげでとりあえずカメラを向けてシャッターを切るということができるようになりました。
そして、そのようなスタンスでの撮影なので、撮影後の疲労感が大幅に軽減されました。
これが本当に盲点でした。疲労感が少ないので、またすぐ撮りに行こうという気分になる好循環が生まれています。
照準器のデメリット
勿論良い事だけではありません。
- 多少嵩張る
- 使用するたびに光軸がズレていないかの確認が必要
- 不意な電池切れが心配
- 照準器を見ていると露出の確認ができない
- 構図に制限がでる
- 被写体が写っている大きさがわからないので、ズーム操作の反応が遅れる
こんなところですね。最初の3つは当たり前のことなのでどうでもいいです(笑)
4つ目からが大事で、照準器を見ているだけでは露出の状況確認ができないので、私は隙あらばファインダーを覗くようにしています。
例えばコアジサシの場合では、空を飛んでいるところと水面にダイブするところでは、露出が結構変わってしまいますので、重点的に撮りたい場面が有る場合にはその場面を想定して露出設定します。
また一連の流れを続けて撮りたい時は、RAW現像を前提として、空を撮る時に白飛びしない露出を基準にしてそのまま撮り続けています。
相当明るい環境でシャッタースピードを稼げる場所であれば、絞り優先モードやISOオートにしてしまってもいいかもしれませんね。
5つ目、6つ目も結構厄介ですね。
AFエリアを中央にしているので、必然的に日の丸構図ばかりになってしまいます。また被写体が近すぎる場合にフレームからはみ出ちゃっていること等にも気づきにくくなってしまいます。
私は3分割構図等で空間を設ける配置が好きなので結構モヤモヤしますが、実態は飛行中の鳥相手に構図を考えている余裕など全く無いので割り切っちゃっています(笑)
トリミングで好きな位置に配置するか、余裕がある時だけファインダーを覗いて構図を考える撮り方を練習していくしかないかなと思っております。
まだ購入して数回しか使用していませんから、ガンガン使ってみるのみですね。
ちなみに、照準器の取り付け位置をファインダーの横になるよう取り付けて、片目はファインダー、片目は照準器を同時に見るようにするやり方もあるみたいです。
終わりに
いかがでしたでしょうか。
私にとってはデメリットよりもメリットの方が遥かに大きいと思いますので、望遠レンズでの撮影時には必須アイテムだと思いました。
撮影時の快適さ、疲労軽減具合が桁違いに変わります。
また、どんな写真が撮れているのか後から見返して確認するのがワクワクして非常に面白いです。
是非照準器導入を検討してみてください。
※本記事の全ての作例で使用したカメラはこちら。
※レンズはこちらです。
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