注文してから2ヶ月、ようやく届きました!
ずっと待ち望んでいた、三脚等にもマルチに使えそうな一脚用雲台を紹介したいと思います。
KIRKの一脚用雲台の新モデル MPA-2"R"
今回購入したのは、KIRKというメーカーの"MPA-2R"という雲台です。
KIRKは米国のメーカーで、L型プレートや後述するクランプ等の精度等で非常に良い評判を見かけることが多く、似たような製品でこちらも精度に定評があり有名なメーカーのRRS(Really Right Stuff)なんかとも比較されることが多い、信頼のおけるメーカーかと思います。
ちなみに基本的にRRSよりはリーズナブルな印象で(それでも高額ですが)、少しだけ手を出しやすい印象です。
※KIRKの製品は、下記リンクの製品も購入しました。
※RRSでは、望遠レンズ(SEL100400GM)用の三脚座を購入し、非常に重宝しています。
以前からKIRKでは"MPA-2"という一脚用雲台が販売されていました。
一脚用なので、ティルトだけができる1WAY雲台となっており、使い易さや固定力等、海外通販サイトのレビュー等でも非常に高評価な商品でした。
私も一脚を買う前からMPA-2が気になっており、これとパンニングベースとレベリングベースを別途組み合わせることで、三脚でもちょっとした自由雲台の代わりに使えないかなぁなんて考えていたこともありました。
そんなことを考えながらも結局手を出さず仕舞いだったのですが、前述のとおり最近KIRKの製品を買ったこともあって、KIRKのサイト(英語のみです)を覗いていると、「MPA-2"R"」という製品が新たに販売されていることに気づいてしまいました。
このRは"Rotating"という意味で、クランプ部分にノブが追加されクランプを回転させることができるようになりました(従来の物は、工具を使ってクランプの向きを変える必要がありました)。
詳細は後程「注意事項」の項で記載しますが、一応簡易的なパン機能が付いた2WAY雲台になったと言えそうです。
これは三脚でも使いたいと思っていた私にとって正に望んでいた機能だなと思い、また最近一脚を購入したばかりで、そのうち一脚用雲台も買わなければと思っていたタイミングでもあったので、これはもう買うしかないなと思ってしまいました(笑)
ちなみに、Rが付くことで従来の物より75$値上がりしていました。
海外通販サイトのB&Hでスペシャルオーダーとなっていて注文したところ、大体2ヶ月程経ってようやく手元に届きました。
外観紹介
前置きが長くなりましたが、実際の製品を写真と共に紹介していきたいと思います。

届いた段ボールを空けると、写真左の箱に製品が入っていました。

クランプ部分の、写真向かって左側のノブが新たに追加されたクランプ回転用のノブです。
右側はクランプの開閉用ノブで、このノブだけローレットが異なっており、触った感触でもノブを間違えづらくなるように配慮されています。
詳細は「注意事項」の項で述べますが、このノブの違いだけは早めに自身の頭に叩き込んでおくことをお勧めします。私も初めて触った際、操作を誤って何度かカメラを落下させそうになりました。



こんな感じでクランプを回転させることができます(注:完全なロックができるのは90度毎に限定。詳細は後述)。
ノブの位置関係でクランプがちゃんと回っていることがわかるかと思います。
自分が誤操作しづらいノブの配置に楽に変えられるのが地味にありがたいです。
続いてメインノブの写真

物凄く大きなノブで、嵩張ってはしまいますが、手袋をしていても操作がしやすいと評判の良いメインノブです。
確かに実際に使用することを考えると、これくらい大きい方が瞬時に回せて良さそうだなと思いました。

メインノブを緩めて、倒せるとこまで倒した写真です。
反対方向にも同様に倒せますので、180度可動します。

所有しているSIRUIの自由雲台K-20Xと並べて大きさの比較をしてみました。
高さはKIRKの方が若干高い(大体10cm前後)ですが、ノブを除く本体の幅がKIRKの方が狭いので、トラベル三脚の折り畳み時に役立ってくれるのではと期待しています。
上から撮ってクランプも比較してみました。

KIRKの方が圧倒的に大きいですね。
こちらは、望遠の単焦点レンズといった一眼レフ用だと数キロもあるような巨大なレンズを取り付けることも想定されていると思うので、それに耐えうる為には当然のことかと思います。
なお、クランプはどちらもアルカスイス互換となっています。
またクランプのノブが、KIRKは金属製、SIRUIはゴムが巻かれていますが、SIRUIのはゴムが滑ってしまい上手くノブを回せない時があるので、KIRKの方が使い勝手が良さそうに思います。
※SIRUIの雲台も値段を考えると非常に性能の良い雲台だとは思います。
注意事項
同梱の注意書きと2WAY雲台運用について
MPA-2Rの箱には、簡単なペラ1枚の注意書きが入っていました。

ざっくり内容を説明しますと、
- クランプを回転させる場合は、ローテーションノブを全開まで緩めてください。これは非常に重要!じゃないと内部が損傷する可能性があります。
- 90度毎のポジションじゃないところでローテーションノブをロックすると、内部が損傷する可能性があります。
こんなところでしょうか。
・・・要は、この製品はあくまでクランプの向きを手軽に変えられるようになっただけで、パン用途として自由なポジションで固定する使い方ではないってことですね。
確かに、90度毎のポジションでは、ノブをより奥まで回せて確実にロックできる感覚があります。
※多少クランプが曲がっていても、90度に近ければノブを締めていくと僅かに角度が調整されていき、奥に入っていってくれる感覚があります。
注意書きの1については、これを読む前にノブを少しだけ緩めた状態でクランプを回転させていたら、確かにシャリシャリと嫌な音がなっていたような記憶があります(笑)
若干手遅れでしたが、念のため翻訳して注意書きを読んで本当に良かった(笑)
注意書き2については、購入する前から多少予想は付いていて、一応覚悟していたことではありました。
実際に90度じゃないポジションでクランプを固定しようとすると、ノブは奥まで回すことはできないのですが、手で軽く力を加えたくらいではビクともしないくらいの固定力は発揮してくれます。

クランプを90度じゃない角度で固定している状態で、望遠レンズ(SONY SEL100400GM カメラと合わせて2kg強)をティルトさせて固定=クランプに負荷がかかっていそうな角度でも、固定できていることがわかるかと思います。
ということで、自己責任にはなりますが、パン機能として、2WAY雲台としての運用も不可能ではなさそうです。
その際は注意書き1はしっかりと守って、ローテーションノブは極力全開まで緩めるように気を付けたいと思います。
クランプの開閉が優秀すぎて、慣れるまではカメラを落としそう
KIRKのクランプで一番定評があるのが、クランプの開閉ノブの回転角の少なさです。

話が逸れますが、上の写真は一回試しにカメラやレンズを装着した後に撮ったものなのですが、真ん中付近に既に白い細かい傷が付いていますね。
最初からだったのか、自分のプレートで傷がついたのか(=傷つきやすい)は覚えていません。
自分はどうせ傷がつく物なので気にしていませんが、気になる方はご注意を。
写真では全くお伝えできませんが、ノブを1、2と回すだけ(180度くらい?)で全開まで開閉できます。
開閉部にバネが仕込まれてる感じですね。開いた状態で手で力を加えるとバネの感じが良くわかります。
これにより、レバーリリースにも劣らない素早いカメラの脱着が行えます。そしてレバークランプよりも他社のアルカスイス互換プレートとの相性の幅も広いと思います。
以前購入した、KIRKのクイックリリースシステムでは、クランプと同じような仕様ではなく、普通に何回もノブを回して固定する必要がありましたので、今回初めて噂のKIRKのクランプを触って、確かにこれは便利だなと実感できました。
ただし、先ほども軽く述べましたが、この素早い開閉のせいで、操作を誤ると一瞬でカメラが落下しそうになります。

何度も言いますが、この製品の場合は特に紛らわしい位置関係に2つのノブが付いていますので、ローレットが唯一違う形の物が開閉ノブ(クイックリリースノブ)ということを自身に叩き込みましょう。
通常のノブだと間違えて少し回してから気づく、という感じでも間に合う時もあると思いますが、これは気づいた時にはもう全開です(笑)
それでも間違えそうな場合はプレートやカメラに落下防止対策を施すか、ノブを触る時はカメラを持ちながら回すという癖を付けるなど、なにかしら工夫が必要かなと思っています。
慣れるまでは恐る恐るですが、これに慣れちゃうと、もう普通のノブでは煩わしく感じるようになってしまいそうな予感がしますね。
固定力・使用感について
まだ部屋の中で試しただけですが、軽く触った所見を述べたいと思います。
トラベラー三脚(Gitzoの"GT1555T")にKIRKのミニレベリングベース"TLB-2"を付けて、その上に"MPA-2R"を装着しています。
※三脚とレベリングベースは下記記事にて紹介しています。
固定力は抜群
固定力はもう自分の機材では何ら問題無さそうです。望遠単焦点レンズの装着も想定(むしろそれがメインでしょうか)されているでしょうから、自分の機材ではむしろ軽すぎるくらいなのかもしれません。


自分の機材の中では一番重いSONYの"α1"と"SEL100400GM"、テレコンバーター"SEL14TC"の組み合わせを装着しています。
ティルトの範囲は自由雲台より広い(自由雲台も窪みがあって90度倒すことはできなくはないですが)ので、使うかは置いといてカメラを真上に向けることも簡単です。

限界まで倒した状態なのですが、90度よりほんの僅かに倒れていることがわかりますかね。
当然下向きにもできます。


真上に向ける機会はそうなさそうですが、真下を向けて俯瞰撮影する場面は結構ありそうなので役立ってくれそうです。
ちなみに上の写真は、ノブの位置関係を見るに反対方向にティルトさせたのではなく、クランプを180度回転させていますね。
そしてこの状態で90度クランプを回転させると縦構図での撮影も容易にできます。

まあ、このレンズの場合は普段三脚座を回転させて縦撮影しちゃうんですけどね(笑)
三脚座が無いレンズでは有難いです。
この倒し方をして1点気づいたのですが、上の写真からクランプを180度回転させることは、ローテーションノブが雲台に干渉してしまい不可能です。

上の写真を見てもらうとわかるかと思いますが、クイックリリースノブよりもローテーションノブの方が下方に取付けられているので、このまま反対側にティルトさせると、ローテーションノブが雲台等にぶつかり、90度倒すことができません。
まあ個人的には全然気にならないポイントです。
最後はレベリングベース等も全てぐちゃぐちゃに傾けて不安定な状態で固定してみました。

見た目は非常に不安定ですが、しっかりと固定されています。
この状態からティルト操作・固定を何度か試しましたが問題無く操作できました。
ジンバル雲台と比べて(程よい締め付け具合の調整が難しい)
固定力は抜群なのですが、丁度良い固定具合(手を離すと傾きが維持されるが、カメラを触って軽く力を入れるとスムースに構図を調整できる)に調整するのは難しいなと感じました。
メインノブを締めていくと、ある一定を境に急激にガッチリとロックされるような印象ですので、締め具合の微調整が難しいなと感じました。
また、自分なりに丁度いい締め具合にした場合は、カメラを傾ける角度に限度があります。

大体これくらいの傾きが、極力緩い締め具合でも固定できる限界でした。
写真では伝えられませんが、カメラを持って軽く力を入れるとスムースに(ゆっくり上下に飛んでいる鳥だったら追えそうなくらい)動かし続けることができます。
ただ、これ以上傾きが大きくなると、固定できずに倒れていってしまいました。
傾きが大きくても固定できるようもう少しだけ締め付けると、今度は結構力を入れないとカメラを動かせなくなってしまいました。
※何度も言いますが、より大きな望遠単焦点レンズ等を使用する場合には、もしかしたらより良いフィーリングを得られるのかもしれません。自分の機材では軽すぎるのかもという気が若干しています。
まあ一脚用雲台ですし、大きく操作しやすいノブを活かして、撮影する時は固定と解除を繰り返して操作するのが普通の使い方なのだと思います。
個人的には、装着時に調整さえしておけば、後は比較的楽ができるジンバル雲台の方が便利かなと思いました。
※ただし非常に嵩張るので、持ち運びや移動が少ないことが前提です。


ジンバル雲台はカメラ取付け時に前後、上下の重心バランスを取るので、非常に弱い固定力でもこのような傾いた状態を保持することができます。
ただし、デカい!
私は一脚を買ってから、とりあえずは手持ちのジンバル雲台を使っていましたが、操作性だけは非常に良かったです。
しかしジンバル雲台も紹介しようと思いながらずっと紹介できていないですね。近々紹介したいと思います。
一脚・三脚への装着感
最後は実際に一脚や三脚に取り付けた時のサイズ感を見ていきたいと思います。
一脚には当然ベストマッチ
まずは一脚(Gitzoの"GM4562")に付けてみます。

何ら問題無いですね。

GM4562のベース部分の方が若干径が大きいことがわかります。
調べたらGM4562のベース径が60mm、MPA-2Rが54mmみたいです。
トラベル三脚に使えるか
続いてトラベル三脚(Gitzoの"GT1555T")に装着してみます。


レベリングベースを付けた上で雲台を装着すると非常に頭でっかちにはなってしまいますね。
この上に更にLeofotoの"G2"というギア雲台を付けるととんでもない見た目になりそう(笑)
重心が上がってブレやすくなる懸念はあるかもしれませんが、しっかりと固定できるのであれば見た目は気にしません。
トラベル三脚で大事なのは、脚を折りたたんでも収納できるかです!
ということで試してみます。
雲台のメインノブは非常に大きいですが、本体部分は割とスリムなので、上手くノブを避ければもしかしたら畳めるのではという期待を持っていました。

レベリングベースと雲台で大分高さがあるので、雲台が突き出てしまいました(笑)
縮長35.5cmしかないGT1555Tだとこれはしょうがないですね。
GT1545T(縮長42.5cm)とかだと上手く収まるのかもしれません。

ノブを回避するのに若干三脚との固定を緩めたりする必要がありましたが、脚との干渉を避ければ完璧にではないですが、ほぼほぼ畳むことはできました。
この状態でクランプも畳んで高さを少しでも抑えようとしてみます。

これが限界ですかね。
正直細かな部分の干渉を避けながら畳んでいくので、全然スムーズに収納することはできず実用的ではなかったです。
これならKIRKのクイックリリースシステムで雲台外しちゃった方が結局楽かもしれません。
実用的ではないですが、一応レベリングベースを外して雲台を三脚に直付けして脚を畳んでみました。

これだとちょうど綺麗に収まりました。

脚の開き具合も許容範囲かと思います。
開かずに完璧に収まるのは、純正のトラベラー用三脚しかないだろうと諦めています。

クランプ側から見ても、まあまあ綺麗に収納できているのではないかと思います。
ただし、レベリングベースが無いと三脚用の2way雲台としては全く使い物になりません(笑)
終わりに
初見の感想は以上となります。
当初想定していた、三脚にも自由雲台代わりとして使うこと自体はできそうですが、理想通りの結果とは言えず、なんか色々と惜しいなあという結果となってしまったというのが正直なところですかね。
とはいえ一脚には当然メインで使っていけますし、トラベル三脚でもとりあえず暫くはこれをメインとして使ってみようかなと思っています。
また使っていって気づいた点が出てきたら共有したいと思います。
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